ゴーストハント夢

□放課後の呪者
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葉が薔薇色に染まって、少し肌寒い秋の放課後。


この前の小テストで、あえなく撃沈した麻衣は、悲しきかな、今から補習のテストがあるらしい。


先に帰っててと言われた私は、恵子とミチルと一緒に帰ることにした。


だらだら喋って歩いてると、校門のとこで、えらく派手なお兄さんが立ってた。

おいおい、あれって……。


男もこっちに気づき、ニヤリと笑って軽いノリで手をあげる。

「よぉっ!名前ちゃん」


恵子とミチルが「えっ、何?知り合い?」「まさか彼氏!?」なんて言って来た。


『ちがうよぉ、バイトの知り合い。
ごめん。ちょっと話して来るから先帰ってて』


そう言って別れたら、ぼーさんが近寄って来た。

「わりーな」

ニヤニヤしてるし全然悪いと思ってないだろ。


『ほんで?わざわざここまで来て何の用?』


そう言ってバイトの方へ歩きながら聞くことにした。
校門の前だと、なんか男らの視線が痛い!
てかバイト先で会えるだろう、なぜ来たんだあんさん。


「だっておたくのとこ、いつも番犬がいてお前と全然喋れねぇし」

拗ねたように言っても可愛くないぞっ。

てか、あー、番犬ってナルのことかな?
……確かに、応接室に出てみんなと喋ってると仕事させられるもんな私。……とほほ。


『でも喋るために来たわけじゃないんでしょ?』

「まぁなー。実はデートのお誘いに来たのさっ」

ぼーさんは片目を閉じてお茶目に言うが、この人はもう25歳だ。

『え?デート?』


なんと、そのデートってのはぼーさんのライブの招待だった……。

「急遽バンドに駆り出されてさぁ。ライブの後デートに行こうかなと」

おぉ〜、さすがはミュージシャンらしい誘い方!
とりあえず明後日の日曜にライブがあるらしい。
ホント急だなおい。




とまぁ、ぼーさんのライブに来たはイイけど、ボーカルがへたっぴアイドルで、それはもう!拷問のような時間でした。

もちろんベーシストのノリオ(笑)は上手かったけどね!


ライブ終了後、近くのカフェでそのノリオ(笑)を待ってたら、やっと来たわ。

てかその格好でカフェに入らないで欲しい……。
ぼーさんの服装はライブの時と同じで、黒いカウボーイみたいな帽子、黒いグラサン、黒い皮の上下、その下はショッキングピンクのTシャツだ。


「すまん、遅くなった」

そう言ったぼーさんは、私の向かいの席にドカっと座った。
服装のせいで、周りの視線がすごく痛い……。

『おつかれさーん、アイスコーヒーでいいよね』

喉乾いたし、さっきついでに注文しといたのだ。


「ありがとな!
はぁ〜、しっかし困ったな……」

『どうしたの?』

聞くと疲れたように答えた。
でもあまり困ったように見えないのはぼーさんだからか?

「今から名前ちゃんとデート!と行きたいとこだが、ナルちゃんとこに行かにゃならんくなった」

『もしかして依頼?』

「そっ!」


はぁやべーわマジ、オレ絶対ナル坊に殺されるわ…って呟くぼーさんは、言葉に反してどこか楽しそう……。
なに?あんたドMなの?



そんなぼーさんと一緒に事務所に入ると案の定、麻衣がぼーさんの格好にツッコミを入れてた。


さらには、「ぼーさんの扱う楽器って木魚とか尺八でしょ!?」と言うしまつ。

木魚を楽器にするとかとんだ破戒僧だぞ。


そんなこんなではしゃいでると、所長室から顔を顰めたナル様のお出ましだ。


「……うるさいと思ったら……。
………名前?今日は休みじゃなかったのか?」

ぼーさんの横に座ってる私にビックリしていた。

これにぼーさんはニヤリと悪い笑顔で、

「そっ!オレら今日デートだったの」
そう言って、私の肩をグイッと抱き寄せてきた。

途端にぼーさんはナルの睨みの餌食だ。

「そんな話をわざわざしに来たんですか?随分お暇なようですね」

絶対零度の視線で言うナルは、口元だけ笑ってて異様だ。

うおっ……、寒くて死にそう!!
ちょっとサーモグラフィーで見てみたいな…。


ぼーさんも恐怖で寒いのか、苦笑いで答える。

「はははっ………。実はよぉ、ちょっとナルちゃんの知恵を借りたくてな」

依頼の話になるとナルは仕事の顔になった。
さすがは仕事の鬼だね!

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