ゴーストハント夢

□人形の家
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あの旧校舎の件からの土曜日、麻衣と一緒に事務所に訪れた。


いやー、ナルの左手の薬指に、あの時買った指輪がちゃんとはめてあってビックリしたよぉ。


「ちょっと見た!?あんな奴でも恋人できるのね」と、麻衣はもっとビックリしてたけどね……。
ってか失礼過ぎないかい、麻衣さんや。


まぁ何がともあれ、これでめでたく麻衣と一緒にバイトすることになったぞーぃ!



……とは言うものの、何これ……
麻衣と喋れる機会が全然ないんですけど!?


それもそのはず、麻衣は応接室で、接客、お茶出し、心霊関係の本の整理など雑用をしている。


私は所長室に机を用意され、ナルの隣でお仕事!
論文や本の翻訳とナルのお弁当とお茶出しだ。


だから麻衣が所長室に入ってくることはない。
徹底してるよねぇ〜。


てっきり私はリンさんの手伝いをさせられると思ってたけど、ナルにきっぱり否定された。
それに麻衣と同じく、私も電話は取らなくてイイんだって。


ってかこれ、ナルとの時間しかねーわ!
ナルに恋人がいてたら確実に殺されてるね私!!


そんなこんなで3ヵ月経って、やっとナルが依頼を受けた!!


初めての調査はもちろん森下典子さんの家だ。


夏休み初日に車で向かったけど、家に近づくにつれて子供の霊が多い!!


車から景色を楽しもうにも子供の霊が邪魔すぎ。
目障りだ!失せろ!!


それに家の近くになると体に重力がズドッとかかるように体力が削がれるわ……。
はー……思ったよりキツすぎ……


車から降りると麻衣が驚いたように聞いてきた。


「ちょっ、名前どうしたの!顔色すごいよ!?」


もうしんどすぎて「ほぇ?」と適当に返事して車のミラーで自分の顔を見てみた。


『うぇぇえええ!??何これ!!』


若いのに過労死したような疲労感たっぷりな青白い顔!!


「どうしたんだ」


ビックリしてると、ナルが心配してか、こっちに来て顔を覗き込んできた。


「……名前、大丈夫か?」


こんな顔見せたくない!と思ったけどもう遅い。


ナルは眉間に皺を寄せて、

「……顔色が悪い。どうしたんだ?」


と聞いてきたけど、麻衣がいるし言いづらい。


『いや〜…ちょっと車酔いかなー、あはは……』

なんて無理矢理おどけてみたけど、麻衣は騙されてもナルは無理だった。


「えっ!?そうだったの?言ってくれれば酔い止めあげたのにぃ」


『えへへ……ごめんねぇ〜』


「麻衣、お前は先に森下さんの家に入っていろ」


「うん、わかった」


麻衣がいなくなったことだし、さぁ言え!と目で促してくるナル。


『この家、8歳前後の子供を集めてるみたい。
しかも大勢の……ぅ、キツイ……』


「そうか……」

少し考えてから、ナルは辛そうな私の肩をそっと支えて森下家へとエスコートする。


なるほど、帰らす選択肢はないのですな?


仕方ないから家に入る前に、悪い気に当てられないようにするか。


気功で、自分が球体のエネルギーの中に入っているイメージをする。


その球体が急速に回転し続けるイメージ。


これで、よっぽどのモノは近寄って来ないはず。


常に保つのは疲れるし、いつまで保てるかわからないけど、護符を貼っていない今は、これで対処しよう。


顔色はすでに悪いが、いくらかましになったはずだ。

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