ゴーストハント夢

□放課後の呪者
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呪詛を探しに外に出ると、ナルが聞いてきた。

「まずどこから探す?」


……………え??

何か考えがあったんじゃなかったの!?

思わず横にいるナルを見ると、ナルの眼は試すように、じっとこっちを見ていた。


『……ほんじゃ、マンホールとかどう?』

普通なら怪訝な顔をしてもおかしくないのに、ナルはすぐに了承する。

「なら、ロープとハンドライトが必要だな」


やっぱりおかしい……。

スタスタとバンの方に行くナルの横顔を見るが、表情は伺えない。


「どこの場所に行く」

ロープとハンドライトを持って、すぐにそう言ったナルにさすがに確信する。

『………学生会館の建設跡地』


こりゃ予知能力がバレてるな…。

私は溜息をつき、ナルや皆にならバレてもイイかと開き直ることにした。




グラウンドの反対側に向かうと、そこの空き地は立ち入られないよう、フェンスで封鎖されていた

空には夕暮れの気配が漂っていて、それが余計に寂しい感じにさせた。


ナルは躊躇いなく金網によじ登り、荒れた草むらに勢いよく飛び降りて着地する。

それを見て一気に焦った。

うわ……どうしよ………。


そういや私、高所恐怖症だったわ………。


子供の頃、近くの駐車場で遊ぶ時、塀を超えられなくて男子らに手伝ってもらったな…。


くそっ、フェンスの向こうのナルが恨めしい!


「名前、来い」

ナルは何故来ないんだという表情で言う。

『うーん……』

ダメだ……。ここはナルに任せて帰ろうかな……


ナルは動かない私に溜息をつき、フェンスの上までよじ登って、私の方に手を伸ばす。

「早くしろ」

帰りてぇぇぇえええ!!!
って気持ちはナルの頑張りで抑えて、私は下を見ないように登ってナルの手を掴んだ。


上まで来たらさすがに発狂しそうになったけど、ナルが私を抱き込んで飛び降りた。


「く……っ!」

『……あ、ごめん』


さすがに1人の人間を抱き込んで着地するような救助隊みたいなことはできなかったようだ。


おかげで私は抱きついたまま、ナルの上に倒れてしまった。

近くにはコンクリートの瓦礫が、ところどころ転がっている。

地面に何も障害物がなくて良かったわ……。



そんなこともあり、マンホールにはナルが降りることになった。

降りる前に中を確認しようと、ライトを照らして私とナルが覗く。

その時、マンホールの穴から手が伸び、ガシッと私の足を掴んで、中へと勢いよく引きずり込んだ


『きゃぁぁっ!!』

「名前っ!」


咄嗟に私の腕を掴んだナルのおかげで、なんとか落ちずに済んだ。


ふ〜、あぶねぇ〜っ!!!


コンクリートのささくれだった表面で、傷ついた膝や手がズキズキと痛む。


それに自分の腕がギシギシと悲鳴をあげてきた。もうさすがに無理かも……。


「……いいか…落ち着いて、足場を探すんだ…」

ナルが両手で私の腕を引っ張るが、声が上ずって限界が近そう。


『う……ぅ……』

足をそっと動かすと、つま先が鉄梯子に触れた。

『ぁ、ぁった……!』

私は、この時、酷く混乱してたのかも……。


麻衣が鉄梯子の下の段に、足かけて落ちたことをスッカリ忘れていたのだ。


私はホッとして、鉄梯子に体重を乗せた瞬間、ナルと一緒にマンホールの中へまんまと落ちた。



『ぎぃぃぃいいやああアアア!!!』

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