ゴーストハント夢

□放課後の呪者
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翌日、麻衣と一緒に湯浅高校に向かった。

ベースに入ると、昨日のメンバーに加えて、ジョンと綾子と、なんと真砂子も来ていた。


指輪のおかげで、真砂子とデートせずに済んでるし、ナルは呼ぶのに抵抗がなかったようだ。


それと今回、呪詛を発見したから、真砂子が「霊はいない」と言っても安心なのが何より有難い!

すぐ喧嘩するからなぁ〜、あの霊能者どもは…。


とりあえず今日は、カメラの設置や温度云々は調べず、手当り次第に除霊していくらしい。

どれが呪詛の被害なのかわからんしね。

除霊が終わったら、明日全員で呪詛探しをするんだとさ。


というわけで、それぞれ別れて行動することになった。

リンさんは昨日に引き続き、学校の怪談の調査。

霊能者は、ジョンとぼーさん組、真砂子と綾子組の二手に別れた。

念のため、ナルの指示した場所以外も視てほしいと真砂子には伝えといたし、これで安心!




一方、私はというと、ナルと麻衣と一緒に、笠井さんがいるであろう生物準備室に向かった。

そこで、優しそうな女の人、産砂先生が出迎えてくれたけど、

「……なんのご用かしら?」


笑顔なのに、黒いモヤが全身にまとわりついててゾワッとするぜ…っ!!

ナルが軽く名乗ったけど、部屋の奥にいる笠井さんは、敵意剥き出しで話せる雰囲気ではない。


そこで、笠井さんの信用を得る為に、ナルがPKでスプーンの首を曲げてプツンとちぎった。

うわぁ……………すごっ……。

今のナルには「お前もこうしてやろうかっ!!」ってセリフが似合いそうだよねー。
まぁそんなセリフ言う人じゃないけどさ。


笠井さんの方は、分離したスプーンを話しながらくっつけた。

あんたら……すげーな……。

しかし今回、くっつけれるかどうかより、噂通り本当に曲げれるかどうかが重要なんだよねー。


「笠井さん、今でも曲げられますか?」

「できるよ……!」


ナルの問いに、笠井さんは強気に返すが、スプーンをじっと見つめて持つと、徐々に蹲ってった。

それを、ナルが厳しい声で止める。

「そんなことをしてはだめだ!」


驚きで肩をビクっとさせた笠井さんに、ナルは淡々と話していった。

「そんなことをしていると、本当にゲラリーニたちの二の舞になる」


笠井さんがしたのは、蹲った時にスプーンの先を椅子の縁にあてて曲げるというトリックなのだ。

ゲラリーニたちは、最初は力があったがそれを失い、このようにインチキに頼ってしまったらしい


「で、でも曲げた事があるのはほんとだから!」

そう叫ぶ笠井さんは傷ついたような表情だ。


「一度でも見つかってしまうと、何を言っても信用されない」

ナルは笠井さんの手からスプーンをとってテーブルに置く。


「ゲラリーニの能力が不安定なのは、研究者なら誰でも知っている。できないときはできないと言っていいんだ」

ナルのこういう誠実なところ好きだなぁ〜。

笠井さんはしょんぼりするけど、否定されなくて少し安心した様子。


すると、産砂先生が笠井さんを庇うように、肩に手をおいて言った。

「わたしが教えたんです……他の教師たちから睨まれて、どうしてもスプーンを曲げなきゃならない状況だったもので……」


わぁ〜!すごく生徒思いだねっ!!

…………って言いたいところだけど、犯人が産砂先生だもんなぁ。すんごい複雑な光景だわ……。

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