ゴーストハント夢 ![](http://id11.fm-p.jp/img/bbs/104.gif)
□放課後の呪者
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放課後だいぶ人気がなくなり、タカの教室は誰もいない。
私は例の席の机の中の物を全て取り出した。
麻衣がすごいアタフタしてるが、気にせず机をひっくり返す。
『……あった』
ナルとぼーさんと麻衣が、後ろから覗き込んできた。
机の奥に隠れてた呪詛を取ってナルに渡す。
「っ!……呪詛か」
目を見開いて呟くナル。
ぼーさんと麻衣は、何がなにやらわからない様子
『もしかすると陸上部もあるかもね。行ってみようよ』
「あぁ」と返事をするナルは、無表情だけど眼が優しい。
その後、砲丸が是非とも投げてくれと1列に並ぶという陸上部に向かった。
しかしぼーさんがドアを開けて入った途端、誰もいないのに槍投げの槍が飛んできた。
「……っ!」
ぼーさんが左上腕をズバッとかすめ、創傷部から血が滲みだす。
しまった!ジョンが小説では頭を掠めてたんだった!!
「ぼーさんっ!!」焦った麻衣が叫ぶ。
『ぼーさん!!』
私はぼーさんへと駆け寄って、創傷部に手を当て、慌てて力を使った。
「っ、……名前?………あれ、…痛くない」
「えっ!?うそぉ!!」
後悔しても仕方がない。
さすがに怪我してるのを放っとくなんてできないしな…。
ぼーさんは少し混乱してたが、
「名前、もしかしておめぇさん、PK-LTか!?」
「えっ?何それ?」
麻衣がわかってない様子に、ナルが溜息をついて説明する。
「PK-LTは生物に影響を与える力のことだ」
「ぇぇ!?すごいじゃん、名前!」
『いやぁ〜それほどでも…』
麻衣がすごい目をキラキラさせて言ってくる。
きっと、怪我したら医者じゃなく、名前に頼ろうなんて思ってるんだろう。
「ビックリしないってことは……ナルちゃんよぉ、もしかして知ってたな?名前の能力」
言われたナルは「ふんっ」と鼻で笑ってて、少し我知り顔だ。
ぼーさんはちょっと悔しそうな顔をしてから、
「しっかし助かったぞ。名前、ありがとな」
大きな手で私の頭をポンポンして笑った。
家族意外に言うのは今でも緊張するけど、みんなになら言えそうだ。
それが嬉しくて思わず微笑むと、不機嫌なナルがデコピンしてきた。
『ぃて……っ!』
額を摩って、なんだよと睨んでみたが、ナルは気にせずに、
「早くその呪詛を探すぞ」
なんて命令してきた。へいへい、すんませんな!
ほんと仕事バカだな……。
見廻すと、部屋の隅っこの床に黒いモヤがあって、そこは割れたコンクリートがズレてて、少し不自然だった。
その下の地面をここ掘れワンワンと掘ってると、ナル達が近寄って来た。
あれ、まさかみんな探してなかったの?
完全に私任せにしてるな、君たち。
『ほいっ、あったよ』
ナルに呪詛を渡すと、
「よくやった、名前」
目元をゆるめて微笑まれた。
やはりジーンの微笑みとは少し違う。
ぼーさんと麻衣は「おぉ〜!!」と手をパチパチ叩いてる。
てか麻衣ちゃんの手柄とっちゃったな。
「もしかして、ここで起きてる怪事件って全部呪詛か?」
ぼーさんがちょっと嬉しそうに言ってくる。
確かにそれなら楽だもんな。
「……それはわからない。
まだ二つしか見つかってないし、人海戦術もやむをえないだろうな」
そう言って考え込むナルはやはり慎重派だ。
結局その日は調査を終え、明日ほかの霊能者も呼んで集まることになった。