ゴーストハント夢

□放課後の呪者
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放課後だいぶ人気がなくなり、タカの教室は誰もいない。

私は例の席の机の中の物を全て取り出した。

麻衣がすごいアタフタしてるが、気にせず机をひっくり返す。


『……あった』

ナルとぼーさんと麻衣が、後ろから覗き込んできた。

机の奥に隠れてた呪詛を取ってナルに渡す。


「っ!……呪詛か」

目を見開いて呟くナル。
ぼーさんと麻衣は、何がなにやらわからない様子

『もしかすると陸上部もあるかもね。行ってみようよ』

「あぁ」と返事をするナルは、無表情だけど眼が優しい。




その後、砲丸が是非とも投げてくれと1列に並ぶという陸上部に向かった。

しかしぼーさんがドアを開けて入った途端、誰もいないのに槍投げの槍が飛んできた。

「……っ!」

ぼーさんが左上腕をズバッとかすめ、創傷部から血が滲みだす。

しまった!ジョンが小説では頭を掠めてたんだった!!

「ぼーさんっ!!」焦った麻衣が叫ぶ。

『ぼーさん!!』

私はぼーさんへと駆け寄って、創傷部に手を当て、慌てて力を使った。


「っ、……名前?………あれ、…痛くない」

「えっ!?うそぉ!!」

後悔しても仕方がない。
さすがに怪我してるのを放っとくなんてできないしな…。

ぼーさんは少し混乱してたが、

「名前、もしかしておめぇさん、PK-LTか!?」

「えっ?何それ?」

麻衣がわかってない様子に、ナルが溜息をついて説明する。

「PK-LTは生物に影響を与える力のことだ」

「ぇぇ!?すごいじゃん、名前!」

『いやぁ〜それほどでも…』

麻衣がすごい目をキラキラさせて言ってくる。
きっと、怪我したら医者じゃなく、名前に頼ろうなんて思ってるんだろう。

「ビックリしないってことは……ナルちゃんよぉ、もしかして知ってたな?名前の能力」

言われたナルは「ふんっ」と鼻で笑ってて、少し我知り顔だ。

ぼーさんはちょっと悔しそうな顔をしてから、

「しっかし助かったぞ。名前、ありがとな」

大きな手で私の頭をポンポンして笑った。

家族意外に言うのは今でも緊張するけど、みんなになら言えそうだ。

それが嬉しくて思わず微笑むと、不機嫌なナルがデコピンしてきた。

『ぃて……っ!』

額を摩って、なんだよと睨んでみたが、ナルは気にせずに、

「早くその呪詛を探すぞ」

なんて命令してきた。へいへい、すんませんな!
ほんと仕事バカだな……。


見廻すと、部屋の隅っこの床に黒いモヤがあって、そこは割れたコンクリートがズレてて、少し不自然だった。

その下の地面をここ掘れワンワンと掘ってると、ナル達が近寄って来た。

あれ、まさかみんな探してなかったの?
完全に私任せにしてるな、君たち。

『ほいっ、あったよ』

ナルに呪詛を渡すと、

「よくやった、名前」

目元をゆるめて微笑まれた。
やはりジーンの微笑みとは少し違う。

ぼーさんと麻衣は「おぉ〜!!」と手をパチパチ叩いてる。
てか麻衣ちゃんの手柄とっちゃったな。

「もしかして、ここで起きてる怪事件って全部呪詛か?」

ぼーさんがちょっと嬉しそうに言ってくる。
確かにそれなら楽だもんな。

「……それはわからない。
まだ二つしか見つかってないし、人海戦術もやむをえないだろうな」

そう言って考え込むナルはやはり慎重派だ。

結局その日は調査を終え、明日ほかの霊能者も呼んで集まることになった。

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