カモン

□三蔵一行!
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「俺を三蔵一行に入れて…ッ!」

中性的な顔立ちをした少年が
四人に向かってそう叫んだ。




ここから、数時間前ーー









「飯飯〜!2日ぶりの飯〜!」

「ふふ、悟空が餓死する前に着いてよかったです」

「っとに、ここ数日缶詰しか食ってなかったからな。」

「フン、贅沢な野郎だ」

「三蔵は缶詰好きだもんなー」

「あれはもう犬のエサだな。
あんなマヨだくだく…あ、おねーさん。オーダー」


悟浄がひょいひょいと手をやると
店員であろう人がテーブル前へ来た。
だがその表情は少し怒ってるように見えた




「お客さん…俺、男。」

腰に腕を当て左手にはオーダーのメモを持っている。




「えっ…マジ?」

「アハハ!悟浄が間違えてる!」

「悟浄貴方…モテないからってまさかそっちの世界へ…」

「ねぇーよ!!!
ってかどうみても見た目女だろーがッ」


言われてみると確かに…と悟空と八戒はまじまじと店員の顔を見る



「な、何だよ。
てゆーかオーダーは?」

「あ!!ハイハイ!
とりあえずココからココまで全部!」




一瞬ギョッとしたが
お腹を空かせてる人に飯を与えるのがこの店の仕事

きちんと全て聞き取りキッチンへ向かう。
が不機嫌そうに煙草を吸う、三蔵法師が視界に入った。




「えっ…三蔵に男3人組…
まさかアンタら三蔵いーッもごっ」

悟浄に口を塞がれ
小声で “声でけーよ!” と言われた。
それに無言で頷き手を合わし謝る。
その手はすぐにはずされ、彼は一度唾を飲む。



「悪かったよ。
オーダー以上でいーね。」


その場から逃げるように
スタスタとキッチンへと向かった。




彼が居なくなった後、悟空は疑問をぶつけた

「なぁ、俺らってそんな有名人なの?」

「一部のマニアにはな。」

「ふーん。
じゃあさっきのやつもその一部って事?」

「そそ。俺らのファン♡」

ーーダンッ!

並々に注がれたビールとコーラが
テーブルに勢いよく置かれた
見上げれば先程の少年が。




「おまちどーサマ。」

「ど、どーも。」

若干八戒と似たオーラを感じた悟浄は
背筋をぴりりと震えさした。


そっからは餃子やら炒飯やら、
手際よく料理が運ばれ
悟空が綺麗にたいらげていった。




それにしても……




「よく食うなーアンタら。
特にそこの。」



茶髪の少年を見て尊敬の眼差しを送る

「コイツは脳ミソ胃袋猿だからな」

「猿?」

「むぐむぐ…ん、猿じゃねぇ!悟空だッ!」



…悟空って言うのか。
赤髪は確か悟浄って呼ばれてたな。
そっちは確か八戒


やっぱり、間違いない。
この人達ホンモノだ。









「おい、食ったらさっさと行くぞ。
会計はこれで頼む」



シュっとクレジットカードを渡され
それがゴールドだった事にまた驚いた。



「ま、まいど。」






ーーーー
ーーーー
ーー

「お客さん達今日はこの村に泊まるの?」

帰り際あえて聞いてみた。



「ええ。長旅でしたから何泊か滞在しようかと」


よし…!
俺、ついてる!!



「じゃまたきっと会うね。
俺もその辺ウロついてるし」

「え、まじで!ってかお前名前は?」

「そういやー聞いてねぇな。」



悟空、悟浄が自分に興味を示している












「…三蔵一行の噂は有名だろ。
残虐非道。
四人が通った道には妖怪の死骸の山が出来るって」

「俺らってそんな噂されてんの?!」

「アハハ…まぁ、間違ってはないですけどね。」とりあえずオーダーを通しにキッチンへと走った。










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