稲穂の街*Fanart
□朝日パニック!?
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「バロール!」
「バロール!」
「ま、まさか……」
東の方角の方を見ると、バロールの予感通り、朝日が二人現れた。
「バロール、こんな所にいたんだぞ!今から恋愛のレクチャーを教えようと思ったんだぞ。これでバロールも彼女出来るんだぞ!」
「れ、恋愛?」
「そうだぞ。バロールにも出来るから大丈夫だぞ。分かりやすく教えるよう、頑張るんだぞ」
「分かりやすく、頑張る……?」
「バロール、こんな所にいたんだぞ。今から応急処置の教え方をするんだぞ。治癒術が使えないけど応急処置ぐらいは出来るって言ったのは貴方なんだぞ。さあ、始めるんだぞ」
「治癒術……?」
これで七人の朝日が揃った所で、バロールはある事に気付いた。それは――
(誰かに似ているような……)
気がするのだ。誰だ、一体誰――!?
「ま、まさか!?」
とバロールは北の方角にいる朝日を見、そして――
「アクセルさん?貴方はアクセルさんですよね?」
「ん?俺は朝日だぞ?」
「確かに姿形は朝日さんですけど、違います!中身がアクセルさんなんです!」
「?」
「それなら――」
戸惑うアクセルと呼ばれた朝日を他所に、バロールは後ろを振り返った。
「ボクに数学の勉強を教えるって言っている朝日さんは、ジェロームさんで……」
「?」
続いてバロールは西の方角にいる朝日三人組の方を見た。
「素直じゃない感じの朝日さんはリーダーで、のんびりな感じの朝日さんはオドネルさんで、クールな朝日さんはゴドウィンさんで……」
「?」
「?」
「?」
そして東の方角に視線を変え――
「頑張り屋な朝日さんはジバルラさんで、落ち着いた感じの朝日さんはソニアさんですね!」
「?」
「?」
「という事はつまり――」
答えはただ一つ。それは――
「皆さんが朝日さんになったぁぁぁぁぁ!?」
衝撃的な真実に、バロールは叫ぶしかなかった。
〜*〜*〜*〜
「……はっ!」
がばっとバロールは上体を起こした。部屋の中は暗いが、尻から暖かく柔らかい感じがする――ベッドだ。そうだ、ここはミトラダテス寮の自室だ。
「ゆ、夢……?」
何て奇妙な夢だろう。仲間達が朝日になっていた。だが、どの朝日も個性的で面白かった。
「何であんな夢を……そういや、今日は何日だったっけ……あ、ルビームーン・二十一日か。……何か、特別な事があるのかな?」
だから、朝日が出たのだろう。特別な日の為に。
「ボクは関係ないと思うけど、誰かにとって特別な何かがあるんだな、きっと」
バロールはふっと笑い、再びベッドに横になり、眠りについた。
朝日と縁のある者を祝福して。
『朝日パニック!?』fin…
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