稲穂の街*Fanart

□朝日パニック!?
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「……ル」
「……ん?」
「バロール!」


何処からか声が聞こえる。誰かが名前を呼んでいる。バロールはゆっくりと目を開けた。そこには――


「やっと起きたんだぞ!」
「朝日さん!」


がバロールの顔を覗き込んでいた。


「どうしてこんな所に?」
「どうしてって、バロールを探していたんだぞ。今からナンパの仕方を伝授しようと思ったのに、何処にもいないから探していたんだぞ」
「ナ、ナンパ……」
「あ、キスの仕方は勘弁だぞ。まだアンナにした事がないんだぞ……」
「え……?」


バロールは首を傾げた。親友のアクセルから、朝日とはどういう人物なのかは聞いている。彼はアクセルと同じ女好き。ナンパはお手の物だろう。しかし、キスはした事がない?アクセル曰く「自然体で女の子に《手を出す》」――《手を出す》という意味はよく分からないが、彼がキスをした事がないのはありえない。それだけじゃない。アンナって――


「アクセルさんの婚約者?朝日さん、アンナさんをご存じなんですか?」
「知ってるの何も、アンナは俺の婚約者だぞ」
「え!?婚約者!?」
「バロール!」
「ん?」


背後からの声に反応したバロールが後ろを向くと、そこには呆れ顔の――


「朝日さん!?」


が立っていた。


「探したんだぞ。今から数学の勉強を教えようと思っていたんだぞ」
「す、数学の勉強?ナンパは……?」
「ナンパ?何アクセルの真似事をしているんだぞ?」
「アクセル……?」


変だ。朝日はアクセルの事を「アっちゃん」と呼んでいるはず。……今更気付いたのだが、バロールは「バロ」と略して呼んでいた。呼び捨てなんて絶対にしないはず。


「バロール」
「バロールさん〜」
「……おい」
「んん!?」


西の方角から、さらに三人の朝日が現れた事に、バロールは困惑で頭が真っ白になりかけた。


「全く、何処をほっつき歩いていたんだぞ。探す身にも……別にお前を心配しているつもりはないんだぞ!」
「バロールさん、探していたんだぞ〜。晩御飯の準備をお願いしたいんだぞ〜」
「……刀の稽古に付き合ってやるんやぞ。さっさと準備をするんやぞ」
「あ、朝日さん?」


西にいる朝日三人組、北にいる――最初に話しかけてきた朝日、南にいる――呆れ顔の朝日――五人の朝日を目の前に、バロールは戸惑いながらも少しずつ落ち着きを取り戻しつつあった。五人の朝日――共通点は独特の口癖「〜だぞ」だけ。違う点といえば、性格や口調だ。どの朝日も性格と口調にばらつきがある。特にクールな朝日は「〜だぞ」ではなく「〜やぞ」だ。自分が知っている朝日はそんな人じゃない。すると――



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