気まぐれ短編

□全ては予想通り
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     『妖怪君!』


あぁ、夢だ。
漠然とそう思う。声は自分の声だけどそうではないなんとも言えない違和感。ぬぐえない不安。でもきっとこれは起こりえる現実。

夢は、記憶の整理だとか深層心理の欲望の体言化、何て“一般的”には言われている。ならば俺の夢を“一般的”に区別すると記憶の整理になる。
俺の夢はこの体が作り出される前、つまりは前世の記憶の整理になる。
二つの記憶がある以上、精神の平常と体の均衡を保つために俺は夢を観るのだ。それも頻繁に、事細かに。
それは大抵何かが起こるときに観る。
日常から外れたとき、妖怪が関わるときに観る。
正直、限界なんだ。
自分とは真逆の存在を演じるのは。

例えば一人称。
アイツは『僕』俺は『俺』。
例えば性格。
アイツは『熱血』俺は『冷徹』。
例えば霊感。
アイツは『見えない』俺は妖怪以外のモノ、世に言う幽霊も『見える』。
例えば例えば例えば例えば………
挙げだしたらきりが無い。
でも夢通りやんなきゃいけない、1度それを覆したことがある。
無事にねじ曲げられたが逆に俺には要らない特典が来た。これからの話に関わっていくような。だからもう逆らわないと決めた。
それにあの一族に関わって良いことは無いしな。
まぁ結局は面倒くさいんだ。


かくいう今が日常から外れたその時。
観たままの通りの台詞を吐く。

「さぁ、旧校舎へ行くぞぉ!あのお方を見つけるんだ!」

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