好きだからこそ

□7.裏切り
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「坂田さん、来てくれたんですね!」



「そりゃあ、依頼ですからね」



目の前にはなまえと出逢う前だったら絶対に惚れていたであろう、別嬪さん。名前なんて言ったっけ⋯⋯?



早く帰ってなまえとイチャコラしてェ。



何かさっきから嫌な予感しかしねェ。



「ところで坂田さん⋯⋯。
お気付きなのではないですか?」



「あァ?」



「浮気調査の依頼なんて嘘だってことに」



やっぱりそうかよ。



「まァ、こんないいオンナ放っとくダンナはまず居ねェだろうわな」



てかコイツ何が目的なんだ?



「交換条件、飲んでいただけません?」


「はァ?交換条件だァ?」



いよいよ面倒臭いことになってきてんぞ、オイ。



「俺ァ、浮気調査の仕事に来たんだよ。関係ねェんなら帰るぞ」



こんなのやってられっか。



と思って踵を返した時だった。




「あなたの恋人⋯⋯。みょうじなまえさんでしたっけ?」



なまえのフルネームがこの女から出てきて、思わず立ち止まる。



「⋯⋯テメェ、何でなまえのフルネーム⋯⋯」



「あの子は忘れてるみたいだけどあの子とは一応知り合いなのよ。
交換条件なんだけどね、あなた私と浮気をしなさい」



「はァ!?」



女が言ったことが信じられなくて、俺は大声を出しちまった。



「もし飲んでくれなかったら⋯⋯あの子、どうなるでしょうね?」



ニタリ、という表現が合うほどに弧を描くように唇を歪ませる女。



こいつ、本気でヤベェ!


俺の勘が正しければこいつの目的は最初っからなまえだけだ。


でも何で⋯⋯。


「テメェ、何でなまえを目の敵にしてやがる⋯⋯」


「交換条件を飲む代わりに教えてあげるわ」



俺ァ、最低なヤローだ。


「⋯⋯分かった。交換条件飲んでやる。⋯⋯だがななまえを傷付けるようなことをしてみろ⋯⋯。その喉噛み切ってやらァ⋯⋯」



女はまたニタリと笑って、「よろしくね。銀時?」と俺の手を握って来る。



お前が俺の名前を呼ぶんじゃねェ。


俺の手に触るんじゃねェ。



虫唾が走る⋯⋯。



なまえ⋯⋯。


こんな彼氏ですまねェ⋯⋯。




本気で愛してる⋯⋯。



俺はもう口にしてならない言葉たちを飲み込んだ。




to be continued...

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