好きだからこそ
□1.新しいいのち
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まさに青天の霹靂と言うべきか。
貴方の髪の毛の色のような空で、雪が降るとても冷え込んだ日だった。
「みょうじさん、おめでとうございます。三ヶ月目ですね」
体調不良が続いていて、病院に来たのはいいけど何故か産婦人科を勧められて受診したらまさかのおめでた。
「どうしました?顔色悪いですよ?」
私は内心、焦っていた。
相手は彼しか居ない。
万事屋を営んでいる彼、坂田銀時に人探しの依頼をしたのが二年半前。
そして、お互いに惹かれあってお付き合いをし始めたのが一年前。
まぁ、彼しか居ないのは彼以外に性交経験どころか男性経験すら無かったからだ。
個人的には彼の子供を身篭ることができて、嬉しい。本当は産んで彼と一緒に素敵な家庭を築いて行きたいと思ってはいる。
が、それは私だけではないのか。
という私の後ろ向きな発想が生まれてしまう。
彼自身、子供は苦手だと言っていたことがある。
それに彼はまるで雲のような人で、掴み所がなくてふわふわしている人だ。まぁ、ふわふわなのは髪の毛もだけど。
産みたいと思っているのは私だけじゃないのだろうか?
そう思った私は彼に伝えるべきか、否か悩んでしまっていた。
「みょうじさん⋯⋯?」
「あっ、すみません⋯⋯。
先生、このことなんですけどまだちょっと誰にも言わないでいて欲しいんです」
私は先生に一応、牽制はした。
きっと、悲しい結果になることは目に見えているから。
病院から帰る途中、私はコンビニに寄って出産について載っている雑誌があったからそれを買った。
「⋯⋯もしダメなら⋯⋯その時は⋯⋯」
私は雪が降っている空を見上げて自虐的に笑った。
to be continued...