長編

□Lie because of the love 〜愛故の嘘〜2
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アイツを初めて見た時は血を流しとった。

雨が降る中傘も差さずにフラフラしとる女を見て声を掛けずにはい
られんかった。


声を掛けたらアイツは声を上げながら涙を流してもたれ掛かってきた。



Lie because of the love 〜愛故の嘘〜【真島吾朗side】




「ホンマにそれだけで済む浅い傷なんか??」


頭から血を流して声を上げながら泣いている顔に傷のある女を宥め、南に車をまわすよう連絡をして柄本病院に来たのは一時間前程。


煙草に火を点けようとしたところで此方を見た先生は隣の女を見てすぐ診察を始めた。

幸いな事に傷は深くはないらしく頭を数針縫ってガーゼを被せ包帯を巻いていく様子を眺めながら紫煙混じりに先生に聞いた。


「ああ、頭から血を流してはいたが浅い傷だったからな。君は本当に大怪我をしてくるね。和泉君?」

「なんや、知り合いやったんか?」



和泉君と呼ばれた女に目をやると目が合い鼻を啜りながら思っていたよりも低い声で話し始め、


「私は此処で働かせてもらってる和泉薫といいます。……助けて頂いてありがとうございます、真島吾朗さん。」


薫ちゃんはワシのことを知っとるらしく頭を下げながら礼の言葉を口にすると再び顔を上げた。


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