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□初恋
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14歳の頃。俺はまだ初心な少年だった。
女子と話す事すら苦手だったそんな俺は、2つ上の先輩に淡い恋心を抱いていた。

『初恋』タハラダの事

切っ掛けは、些細な事だった。
ただ、彼女が白いハンカチを所持していた。
唯、それだけで恋に落ちた。
見た目も美人の部類に入るだろうが、見た目で惚れたのでは無く、アイロン掛けされた清潔な白いハンカチを常に所持していたその上品さに惚れた。

そんな上品で2つ結びが似合う彼女と帰路が同じだと知ったのは、惚れて一ヶ月後の事だ。
偶然を装い、辿々しく声をかけ何気ない会話をしながら帰る事が出来たのは惚れてから三ヶ月後の事だった。

他愛も無い会話、ぎこちない言葉のキャッチボール。
だが、それ等総てに気品が有り、俺は益々彼女への想いを強めていった。

四ヶ月後、夏休みに入っても部活の練習で学校に来る事はあったが、彼女には出会えなかった。
そうして、夏休みが開けた日。
彼女が死んだ事を知った。自殺だった。
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