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□小さな無限地獄
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『小さな無限地獄』

地獄は女の中に在る。そして、赤子は女の腹で生命を得る。この世に生を受ける者は等しく罪人で有り、この穢らわしい世と地獄を繋げる役目が女なのである。生前罪を犯した者は、死後女の中に有る地獄へ堕ち、そしてまた生を受け地獄へ堕ちる。之こそが無限地獄なのである。私はその地獄を、覗いて観たかった。記憶から消されている己の還る場所をこの眼で確かめたかった。そして、或る罪人を地獄へ還したかった。
その為には、兎にも角にも女が必要だった。誰でも良いと云う訳では無い。この世と地獄が繋がる時でなければならない。地獄の罪人が吐く穢らわしい血を外へ排出している女、又は既に罪人を身篭った女でなくてはならない。比較的手に入り易いのは前者であろう。だが、攫うのなら見ただけではどの女がソレなのか検討が付かない。後者は見た目には分かり易いが身元を特定され易く、攫う事は容易では無い。唯覗き観るだけならその場でスれば善いだけの事だ。だが、罪人を還すとなると時間が足りぬだろう。悩んだ挙句、私は前者を選んだ。しかし、当たりが来るまで何人も攫う訳にはいかない。何か見つけ出す善い方法は無いだろうか。
ああ、そうだ。アレならば善い。ここからならば、良く見える。
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