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□人魚
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『人魚』フユキの事

金魚は昔、人魚の肉として出していた店が有るそうだ。
金魚は観賞用に特化した魚だが、食べれない事も無いだろう。
刺身は、少し抵抗があるが焼いてなら食べれない事も無い。
だが、不老不死になる為にはやはり、刺身でないといけないのだろう。

同じ体育教師である洒羽が金魚が死んだ話を聞かされた。
「茅の輪潜りで、くぐっとけば金魚三匹分の罪無くなってましたかねェ。」
と、へらへら喋る彼は罪の意識を感じてるんだか感じていないんだか良く解らない。
その上、金魚も交わるんですよ、だなんて変な事を言い出す始末だ。
そんな、下衆な話を聞いて昔祖母が話してくれた、人魚の肉の話を思い出した。
人魚の肉を食べた娘が不老不死になる話だ。
冗談で、死んだ金魚は食べたのか?と聞くと、彼は二匹はトイレが、一匹は向日葵に食べられた。と、これまた頓珍漢な答えが返ってきた。

人魚の肉とは、果たして上と下どちらの事なのだろうか。
上半身は、人間。下半身は、魚。
普通に考えれば下半身の魚の部分を食べるだろうが、残された上半身はどうするのであろうか。
上半身だけになっても、人魚は人魚だ。上も、食べてしまうのだろうか。
なんとも、グロテスクな光景が目に浮かぶ。
不老不死。
そんなに、魅力を感じないがそれは個人の感想だ。殺してでも手に入れたい人も居るだろう。特に、女性は不老を欲しがるだろう。
老いていくのは恐ろしいと、母が愚痴っていたのを思い出す。
もし、本当に人魚が居るとして、目の前に調理済の物が有ったのなら母は、人魚の肉を食すだろうか。
輪切り人魚のソテーか、はたまたオーソドックスに刺身か。
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