04/18の日記
18:47
ナツルー小説Valentine
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◆追記◆

「バレンタイン空いてますか?」

それはお昼の休憩時間に見も知らず少女から掛けられた言葉だった。

「コイツか?コイツなら……」
「ち、違います!ナツさんです」
「へ、オレ?」
「はい……」

いつも女達から告られている友人かと思ったら、まさかの自分でナツは目の前で顔を紅く染め上目遣いで自分を見てくる少女を見る。

「あ、空いてるけど……」
「本当ですか!?でしたらその、13日までにこのメアドにメール下さい!」

バッと頭を下げ手に持っていた紙を前に出している。その紙を受け取れば、少女はそれではと言うと去ろうとするので

「な、名前は?」
「る、ルーシィです」

名を名乗り走り去って行く少女を見ながらナツは受け取った紙を見る。

「ナツさんよぉ、お前告られるんじゃね?」「さぁな、でもあの制服…」
「ああ、お嬢様学校の制服だったな」
「なんでオレなんだ?」
「それは本人に聞けよ」

お嬢様が自分に告る筈はないと思いながらもナツはスマホをポケットから取り出し、メールを貰った紙に書いてあるメアドに送った。
それが1月半ば頃の出来事。


*********



2月14日バレンタインデー当日ナツは指定された展望台へと来ていた。

「あ、あの!遅れてごめんなさい」
「大丈夫だ、それにまだ5分前だし……」
「それなら良かったです」

少し幼さを見せるルーシィの笑い方にナツは何かを撃たれる感覚がするがこれが何が分からないので無視をする。

「ルーシィだったな」
「はい、ルーシィ・ハートフィリアです」
「お前はなんで今日オレを誘ったんだ?」
「す、好きになってしまったからです」

本当に告白だったのか、ナツは内心そう思い少女を見る。

「オレ、ルーシィと会った事あるか?」
「あたしが見かけただけです。友人の付き添いでバスケ部の試合の応援に行った時ナツさんを見かけまして……」

1人ぽつりぽつりと話してくれる少女の言葉を真剣に聞きながら記憶を辿ろうとしているナツ。

「男性の事が気になる事今まで無かったですし。初めてだったんです!カッコイイとか思ったのは」

だから思い切って告白しようと思いましてと語尾が小さくなるルーシィに頬を若干紅く染めそうかと答えれば。

「……な、ナツさん!好きです。あたしと交際して下さい」
「……し、知り合いと言うか友達からって事で良いか?オレまだお前の事知らねぇし」
「そうですよね、ごめんなさい。では友人として宜しくお願いします」

まぁ当たり前の答えにルーシィは少し寂しげに微笑みながらナツの言葉を受け入れ、その日はメールをやり取りしてる間に2人で決めた場所に行った。


*********



「で、どうだったんだよ」
「何がだ?」
「ほら、金髪のお嬢様!」

覚えていたのかと内心思いながら行ったと言えばその内容を聞こうとするので、絶対に言わないとアピールする為口にパンを詰め込んだ。
そしたらタイミング良く友人の彼女がやって来てナツの事を話せば。

「金髪のお嬢様?私と同じ学校……。もしかしてルーシィの事ですか?」
「知ってたのか?」
「知ってるも何もいつも一緒に居ますし、あっでも今日はお見合いさせられるって言ってました」
「高校で見合いってお嬢様も大変だな」
「私は別に大変とは思いませんけど、ルーシィはお父様が厳しいから……」

心配そうに話す彼女に友人はどういう事だ?と問えば

「ルーシィの家は1代で大きくなって、今では世界的の企業になってますからその跡継ぎの事で色々と言われてるみたいで」

それでと言葉を繋げようとするが今から言う事を思い出したのか涙を流し出す。

「ルーシィはストレスで自分の手首を切ってしまったりしてっ自殺をしようとした事があったんです。
お父様はそんなルーシィに気付かないで仕事をしてたらしくて今もその事は知らない様です。それからルーシィはナツさんを見かけて、恋に落ちたって本人から聞きまして…。
でもルーシィは告白を断られたらお見合いを強制的にさせられて断れなくなってしまうのです。」

いわゆる政略結婚と言うやつですと彼女は言う。
ナツは黙って話を聞いていたら、思いがけない言葉が次々と出て来て昨日感じた何かを撃たれる感覚の話をすれば

「恋に落ちたんですね!!」
「いや、そうと決まったわけじゃ」
「そうとしか思えません!相手はやはりルーシィですか!?」

期待しているのか目をキラキラさせてナツの言葉を待っている。
ナツは次第に熱くなる顔を片手で隠しながら頷いた。

「ではルーシィを向かいに行きましょ!私が連れていきますから」
「でもだなぁ、オレ昨日」
「つべこべ言わない!ほら行きますよ」

彼女にしては珍しい叫びに負け背中を押されて学校の外で待っていた車の中に乗った。

「俺もついて行って良いのか?」
「はい!ルーシィにちゃんと紹介しなければいけませんから」
「おい、なんでサイズピッタリのスーツが此処にあるんだ?」
「それは企業秘密ってやつですよ」

後部座席でスーツに着替えらされ、髪もワックスで整えられ金持ちとは恐ろしいものだと思いながらルーシィがお見合いしている場所まで送ってもらう。

「なんで場所まで知ってるんだよ」
「ルーシィにはGPSを付けてるからです!」
「普通に恐ぇよ」

許可も取ってますから!自信あり気に言っている彼女にそうかと飽きれれば車がキュキュッと音をたてて止まり後部座席のドアが開かれた。

2018/04/18 18:47
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