探偵
□出会い1
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過去編
その日ルナは杯戸町のショッピングモールに来ていた。
カランカランッ!
「おめでとうございます!大観覧車チケットです!」
ショッピングモールの福引きで当てたチケットを見ながらどうするか考える。
チケットは1枚、誰かを誘うのは無理。でも、チケットは無駄にしたくない。
「一人で乗ろう」
そんな感じで観覧車に乗ってみた。
コツンッ
動かした踵に何かがあたった。
座席の下を覗き込むと黒い箱があり、引きずり出してみると爆弾だった。
あっ、軽く言いすぎた。でも、ただの爆弾だね。うん。
とりあえず解体しよ。危ないし。
解体を始めてすぐに地上で爆発が起きた。
ゴンドラの爆弾もいつ爆発するか分からないから手早く解体を進めているとゴンドラに1人の男性が乗り込んできた。
「「!?」」
「早く降りろ!!」
「無理、飛び降りたら死ぬ」
「……………邪魔だけはするな」
そう言うと男性はゴンドラの中を探し始める。
「爆弾なら半分くらい解体したよ」
「どういうことだ!?」
「だから、半分解体したから、後は任せます!!」
「お前、何もんだ?」
「ただの女子中学生だけど」
「ただの女子中学生が爆弾解体できるわけねぇだろ」
「そんなことより、タイマー動いてるよ」
「ちっ!お前のことは後でゆっくり聞かせてもらうからな」
ドカーーーーン!!!!
再び爆発が起こり観覧車が止まる
「びっくりした〜」
プルルルルル
男性が電話にでて現状を伝える
水銀レバーとか最悪じゃん
佐藤side
松田君に電話をかけると思いもよらぬ事態が起こっていた
「えぇっ!ゴンドラの中に女の子が!?」
「佐藤君!それは本当か!?」
「はい、松田君から電話で!それから、水銀レバーがあるから観覧車を動かさないようにとも」
「よりにもよって問題のゴンドラに少女が取り残されてるとは……。松田君に任せることしかできないか」
ルナside
「ヒントは見なくてもいいの?」
「はぁ?自称一般人のお前が居る時点で爆弾の解体が最優先だ」
「でも、病院しか分かってないんでしょ。ギリギリで切れば大丈夫なんじゃない?」
「そこまで言うなら付き合ってもらうからな」
結局ギリギリまでヒントを見ることになった。よかった爆発しないで。
「よし、爆弾の場所は分かったぜ。とりあえず救助を呼ぶから待ってろ」
それからすぐに救助されたが、被害者+爆弾を解体したことで警察から事情聴取を受けている。
「単刀直入に聞くが、君は何処で爆弾の解体の方法を知った?」
「アメリカで保護者に教えてもらいました」
「アメリカ?君はアメリカ人なのか?」
「国籍は日本ですが、両親を亡くした後にアメリカに住んでいる人に引き取られました」
現在マンションで一人暮らしと言った時はめちゃくちゃ驚かれた。
中学生なのにって。
事情聴取が終わる頃には18時を回り辺りは暗くなっていた。
「うむ、君は中学生だし今日はこの辺にしておこう。犯人はまだ捕まってないから誰かに家まで送らせよう」
「それなら、俺に任せてくれ。ついでに飯でも食わせておく」
「松田君が?彼女さえ良ければ構わないが……」
「私は構いません」
「決まりだな。付いて来い」
松田さんの車で送ってもらい、夕飯もご馳走になった。食事中にいろんな視線が気になってしまった。
まず松田さんが探るように見てくるし、女性客はチラチラ松田さんを見て頬を赤らめてる。
居心地の悪い夕飯だったけど、松田さんの奢りだからデザートまで食べた。遠慮なんて知らん。
夕飯の後は松田さんの車で自分のマンションに送ってもらった。
「一応部屋まで送ってく。どこに犯人が潜んでるかわからないからな」
「えっと、夕飯ご馳走様でした。もう大丈夫です。ありがとうございます」
そう言って部屋のドアを閉めようとしたが松田さんに阻止されてしまった。
「ちょっと待て、観覧車で後でゆっくり聞くって言ったよな?とりあえず中に入れろ」
「は?松田さんって女子中学生の部屋に興味がある人?ロリコン?入ってもいいけど佐藤刑事にチクるよ。ロリコンに襲われそうになったって」
「………いや、今日は遠慮しとくぜ。お前の家と連絡先は覚えたしな」
「不法進入はしないでね変態刑事さん‼」
そう言うと思いっきりドアを閉め窓から松田さんがマンションの敷地内から出て行ったことを確認する。
(あっ……盗聴器調べなきゃ)
何も仕掛けられていないことを確認すると一息つく。冷や汗ダラダラだよ。だってこの部屋には色々と法律に触れる物がたくさんある。ライフルとか拳銃とかナイフとか……
今日は難を逃れたけど、松田さんは絶対に私のことを怪しんでると思う。
引っ越したい…………。
松田side
観覧車で爆弾を解体していた朝日奈 ルナという少女。俺はあいつが怪しいと踏んで送迎を自ら買って出た。
だがあいつは車でも食事中でもただの中学生で自分の刑事としてのカンは間違いだったのかと思い始めてきた。
でも、それはあいつの部屋に入ろうとした時に確信に変わった。
やっぱり怪しい絶対に何か隠してると。
今回は上手くはぐらかされたが次はそうはいかねぇ。
「しかし変態刑事か……」