D.Gray−man2

□止血の仕方
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「やめだ。ガキの相手をするほどオレも暇じゃねぇよ」


マドネスを肩に戻したソカロはそう言い捨て、二人に対して背を向けた。


「待──


ガシッ!!


それに制止をかけようとするクロスの腰にしがみつき、首を降って止めたのはシルクだ。


「クロス…怪、我」

「あ?」


クロスの右手袋に滲む赤色を見て、シルクの顔が泣きそうに歪んだ。


「…あぁ、これか」


かすり傷だと呟くクロスに反し、恐る恐る手を伸ばしてくるシルク。


「…痛い?」

「痛くねぇよ」

「!!」


触れてきた指を軽く握り返してやったら、びっくりしたように手を引っ込められた。


── …何だこの反応。


「何驚いてやがる」


けれどもクロスのその言葉にも何も返さないまま、シルクはただただその手をじっと見つめていた。


「気になんなら手袋取って、見てみりゃいいじゃねェか」

「こ、怖いからいいっ!!」


── 怖いって、オレの手は恐怖の対象かよ。


が、クロスはある事を思いついて不安気にその手を持ち上げると、深刻そうな顔でポツリと呟いてみた。


「まぁ…案外深いかもな」

「えっ?!」

「何より出血量が酷い」

「そ、そんなっ…」


普通に見て、多少血が滲む程度のそれであるのだが…

そっちではなくクロスの言葉の方を信じ、どうすればいい?と泣き出すシルクの前に、クロスは手袋を剥いだ手を差し出した。


「止血の仕方は分かるな?」

「わ、…わかんない」

「こうすればいい」

「 っん!」


小さく開いたその口に傷口を押し当てて。

目で訴えてくるシルクに舌だ、舌と言うと理解したのか、生暖かい感触が触れてきた。


「噛むなよ」


クロスのその言葉に暫く傷口を舐めていたシルクだったのだが、ふと何かを思い出したようにあっ!と口を開いた。


「そっか、止血の仕方ってみんな同じなんだね!!」

「あ?みんな?」

「ティキとか言う人も、怪我した手をこうして舐めるように言ってきたよ」


その言葉を聞いた瞬間、ひくりと引き攣るクロスの頬。

── …あの泣き黒子。次会ったらマジでブチ殺す!!!!


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