「あ……れ?」 シルクは目が覚めてすぐ、窓の外がすっかり暗くなっていることに気が付いた。 秘部に走った痛みを無視して体を起こせば、視界に映るのはクロスの足。 「…んっ!!」 と。 不意にそのクロスにより顎を持ち上げられて口付けられたと思うと、何やら冷たい液体がシルクの喉に流れ込んできた。 ほんのりと甘いそれは、 「オ…レンジ、ジュース?」 「声上げて喉渇いてたろ」 だったら直接コップを渡して飲ませてくれればいいのにと思う間もなく、再度口移しで飲ませてくるクロス。 喉が渇いているのは本当だったので、シルクも大人しくクロスからのそれを受けた。 そしてそれはクロスが手に持つコップの中身がなくなるまで永遠と続けられて… 「おかわりは?」 「…い、らない」 意地悪く聞いてくるクロスに、シルクはぶんぶんと首を降って否定の意を示した。 「ピーチもあるぞ」 「い、………らない」 ピーチには心惹かれるが、クロスから二度も口移しを受けることを危惧し、ぐっと誘惑に耐えるシルク。 「ククッ。我慢すんなよ」 「…なっ、ん…!」 けれどもシルクの抵抗虚しく、クロスは机の上にあるもう一つのコップの方も引き寄せると、あっさりとシルクに二度目の口付けを落としてその中身も全て流し込んでしまった。 驚くシルクの口端から溢れた分も舌で舐めとり、丁寧に丁寧に中に送り込んでやるクロス。 「…い、らないって、言ったのに…」 「どの口が言うんだ?あ?」 二杯目も全てなくなってから、けれども恨みがましそうに呟くシルクにクロスは呆れたようにそう返した。 だが、ふと気が付いてシルクの方を見る。 「口移しだと飲むんだな」 「……?」 いつもたいして飲まないし、食べないシルクがコップ二杯分の飲み物を飲んだ事にほぉーと感心するクロス。 「体力作りは修行の基本だからな。今度から食べ残した場合は全て、口移しで食べさせてやろう」 クロスの言葉に愕然とするシルク。 …もう何があっても絶対に残すまいと決意し、そっと決意を固めたのだった。 |