小話
□ハッピーホリデー。
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『休みが欲しい!』
そう訴えると、リックは意外にもあっさりとそれを了承してくれた。
しかも、たまにはダリルとゆっくり過ごせなんて言われたものだから、私はこれ以上無いくらいテンションが上がりきってしまっている。
毎日毎日、物資調達に見張りに武器の管理にフェンスの補習。
恋人といちゃつくよりも、ウォーカーを始末する頻度の方が高い日々にさようなら。
明日は私とダリルだけの時間!
休日を朝からダリルと過ごす為に、私は夕食後からずっと彼の部屋で過ごしている。
ダリルも久しぶりの休日に気分が高揚しているのか、部屋に入るなりこれまでの分の埋め合わせをするかのように激しく私を求めてくれた。
今は、二人してその余韻に浸っている。
ダリルの体温を素肌に感じつつ、枕に顔を埋めれば……安心感からか途端に眠気に襲われた。
「おい、まだ寝るなよ」
「寝ない、よ……」
「寝ながら言うな」
くぐもった声音で答える私に、ダリルが呆れたように笑う。
「寝ない、けど……何か喋ってて……」
心地良い疲労感に、ダリルの存在。
心も体も満たされている今、ウトウトとしてしまうのを、どうにも抑えられない。
ダリルが暖かい手で背中を撫でるものだから、余計に眠くなってしまう。
「明日、何かしたい事とかあるのか?」
「えっと…………」
ダリルとしたい事なんて、たくさんあるに決まってる。
いっぱいお喋りして、一緒にご飯を食べて、外にも行きたいし……それから、それから──……。
「おまえ、今何考えてる?」
霞のかかる頭で考えているせいか、なかなか言葉にしない私に何を勘違いしたのか、ダリルはクックッと喉の奥で笑った。
「安心しろ、おまえが好きそうな事は全部ヤッてやるつもりだ」
「………………馬鹿なの?」
ダリルが言わんとしている事がわかり、枕に頬をつけたまま横目でジトリと睨めば……からかうような口調とは裏腹に、愛おしげな表情のダリルと目が合う。
「何だよ、明日はおあずけか?」
「……………………する、けどさ」
低い声で優しく囁かれたら、そう答えざるを得ない。
耳元を鼻で擽るようにしてチュッチュとキスを落とされれば、先程たっぷりと熱いモノを注がれた部分がきゅんと反応するのを感じた。
「んっ、だめ……ダリル…………」
「無理はさせない」
「あっ」
言って
る事とやってる事が違う気もするのだけれど、唇の隙間からヌルりと舌が侵入してくる頃には、私も覚悟を決めた。
「明日、起きられなくても知らないから」
「おまえが起きるまで抱き締めててやるから……許せよ」
こうして、休日の朝は二人でベッドで過ごす事が確定してしまった。
END.