小話
□とくべつあつかい。
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ダリルはいつも優しい。
思いやりのある人だっていうのはわかっているけれど、みんなに対するそれと、私に対するそれは少し違うような気がする。
危険の少なさそうな場所に行く時は必ず声をかけてくれるし、何か良くないことが起これば真っ先に私の元へ来てくれて……気が付けばいつも、ダリルが傍に居る。
外に出た時に見つけてくるのか、キャンディやチョコを持ち帰ると必ず私のとこに持ってきて、『さっさと口に入れろ』と、慣れない手付きで可愛らしい包み紙を破るのには思わず吹き出してしまったけれど、私の為にしてくれているんだと思うとなんだか暖かいような、擽ったい気持ちになった。
一日に何度も目が合って、私も無意識にダリルを目で追っている時がある。
最初は妹みたいに可愛がってくれているんだろうなくらいに思っていたのに、いつの間にか、ダリルがそんな風に接してくれるのを期待してしまっている自分。
そして今日も。
寛ぐ場所なんて他にもあるのに、物凄く自然に、ダリルは私の隣に座った。
その横顔を見つめていたら、次第に胸がドキドキと高鳴り始めて……
どうせ隣に座るなら、早くその瞳に私を映してくれたらいいのにと、願わずにはいられなかった。
「どうしよう、ダリルのこと……好きになりそう」
私の言葉に、ダリルが笑う。
優しいけれど、どこか悪戯な表情で。
「なってもらわなきゃ困る」
「え?」
聞き返す私の手のひらに、何かが握らされる。
それがキャラメルの包みだと気付いた時には、私の唇にダリルの唇が重なっていた。
さっきよりも胸がドキドキしている。
どうしよう、嬉しい……。
でも、この後どんな顔してダリルを見たらいいんだろう。
END...