小話

□キャンドルナイト。
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みんなが寝静まった頃。
見張り当番じゃ無い夜は、決まって私の部屋で過ごす。

普通の恋人みたいに。



「今日もまた随分とべったりだな」

「嫌ならやめるよ?」

「やめろとは言ってねぇだろ」



ベッドに横になるダリルにしっかりと抱きついていた私が笑いながら身を起こすと、離れるなと言うように、大きな手がしっかりと私の後頭部を押さえ、逞しい胸板へピッタリと押し付けられる。


数本のキャンドルを灯した部屋はそれだけでもロマンティックな雰囲気を演出して……ついここが刑務所で、外にはウォーカーが彷徨いているという事を忘れてしまう。

おまけに今はプライベートな空間に二人きり。
甘い雰囲気にならないわけが無い。



「こうするの、久しぶりで……なんか嬉しい」

「そうだな」


ダリルが相槌を打ちながら頭を撫でてくれるのが心地好くて、私はそっと目を閉じた。
指先でクルクルと毛先を弄ばれるのすら気持ちがいい。


刑務所に来てからというもの、なんだかんだとやるべき事が多くて、なかなか二人きりの時間を楽しめずに居た。
せっかく安全な場所を手に入
れたのに、だ。
それをヤキモキしなかったといえば嘘になる。


普段はウォーカーと戦い、物資を集め、日々の安全を確保するといった生活を送ってはいても、やっぱり私も女なのだ。

恋人との時間は欲しい。



「ダリル……もっと一緒に居たいよ。もっとくっついてたい」

「いいぜ、なんなら監視塔にでも行くか?」

「それならグレン達から乗っ取らなくちゃ」



触れるだけのキスを交わしながら、お互いの言葉に笑い合う。

ダリルが二人きりの時に見せてくれる表情や、私にかけてくれる言葉の数々。

彼を知れば知る程、この時間がもっともっと欲しくなる。




「愛してる、ダリル」

「俺もおまえを愛してる」




所詮、私も女なのだ。



END

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