小話

□ジャストフィット!
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「グレンてアジア系にしては背が高いよね」

「そうかな?」




珍しく平和なある日。
私は一緒に水を汲みに来たグレンを見上げて言った。
グレンは、ダリルと並んでもそんなに変わらないくらい背が高い。

私も特別背が低い方では無いし、日本人女性の平均くらいはある。
だけど、やっぱりみんなに比べたら少し低い。


コンプレックスとまではいかないけれど、ちょっとみんなが羨ましかったりする。


「いいなぁー……グレンは背が高くて」

「そんなに気にすること無いと思うよ」


背伸びをして、身長を測るようにグレンの頭に手を当てた。
私がやりやすいようにグレンがしゃがみ込んでくれたが、それじゃ意味が無いでしょ!と、笑いあっていると……



「わっ……」



いきなり、後ろから強い力で腕を引かれた。
よろめいた私に、咄嗟にグレンが手を伸ばすが……私の身体は背後から固いものに受け止められる。




「ダリル!」



振り向くと、そこには恋人の逞しい胸板と、少し不機嫌そうな表情。



「何してやがる」


たぶん、ヤ
キモチだろう。



「グレンは背が高くて羨ましいって話をしてたんだよ」

「そうそう。だから、頼むから俺を殺さないでくれよ?」


やれやれと二人で苦笑すると、ダリルはチッと舌打ちをして、そのまま私を抱きしめる。


「おまえはそのままでいいんだよ」


言いながらギュウウウウっと腕の中に閉じ込められて、ダリルの胸板に顔を埋める形になった私は、とてつもない幸福感に包まれた。


「このサイズが一番しっくりくるだろ」



言いながら、私の頭に顎を乗せたダリル。
全身が完全に包み込まれる安堵感に、私は彼の匂いを深々と吸い込みながら、うっとりと目を閉じた。



「このままでいいかも」

「……だろ?」

「あぁ〜……もうっ!イチャイチャするなら他所でやってくれよな!!」







今日も私達は仲良しだ。



END

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