長編

□07.大切な人。
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私がどういう人間なのか、どんな過ちを犯してしまったのか……知られるのが怖かった。



特に、ダリルには。



それは、ダリルに嫌われたくなかったからで。


一緒に過ごす内に、ダリルとは良い友達になれると思ったし、今は友達どころか……家族みたいに、支え合えたらって思っている。


だけど、今の私は完全に混乱していた。




ダリルは私を『好きだ』と言った。




嫌われずに済んだ事が嬉しい反面、その言葉に戸惑いを隠せない。
今、私にキスをするダリルが……まるで知らない男の人になったみたいで。


まさか、ダリルとこんな風になるだなんて思いもしなかった。



「…………っ」



頬を大きな手に包まれて、何度も何度も口付けられる。

ゆっくりと唇を重ねられて、呼吸するタイミングも与えてくれているのに……私は勝手に息をする事を忘れ、されるがままになっていた。





こういう経験が無いわけじゃないけれど、そんなに数をこなしてきたわけではないから、正直に言うとタイミングやら何やらがわからない。

日本に居た時はま
だ高校生だったし、アメリカに来てからは余裕が無くて、そういうのとはご無沙汰だった。



「っふ………!」


私の戸惑いを他所に、ダリルの行為は止まらない。

なんとか息継ぎをしようとした瞬間に、隙間から舌を割り込ませて、私のそれと絡め合う。
途端にちゅくちゅくと濡れた音がし始めて、先程よりも更に官能的な雰囲気に身体が震えた。





(こんなエッチなキス知らない…………)




角度を変えながら深く口付けられて、熱く濡れた感触に意識を持っていかれる。
軽く唇を食まれるのも、歯の裏側までなぞられるのも……気持ちが良くて、酔っているのも手伝っているのか、他に何も考えられなくなってくる。


一度冷静になろうとうっすらと目を開ければ……ダリルと目が合った。

綺麗な瞳の奥で、見た事もないような強い意志を感じる。

ダリルが唇を離すと私の頬を指先で撫でて、そのまま互いに見つめ合う。






永遠にも感じるくらい、長い一瞬だった。






荒い呼吸が整うのを待たずに、再び唇を奪われる。


私はといえば、ただ恥ず
かしくて……ドキドキしすぎて心臓が壊れてしまいそうなのをやりすごそうと、ぎゅっとダリルの着ているシャツを掴んだのだが、完全に逆効果となった。


シャツ越しにもハッキリと感じる鼓動。
ダリルも、私と同じくらいドキドキしているのがわかった。


おまけに掌に触れる厚い胸板が、この状況ではこれ以上無いくらいダリルの男らしさを私に意識させて……顔が熱くなる。



キャンプでダリルの傷を手当したときは、少し目のやり場に困ったけれど、意識しないように努める事は出来た。

でも、今はさすがに無理だ。


いつもボウガンを掛けている肩は逞しくて、手も大きいし矢を番える指も太くてゴツゴツしてる。
背中なんて広いから、私が腕を回すといっぱいいっぱいになってしまうし……全体的に筋肉がしっかり付いていて、かなり逞しい体型だ。



よく、今まで平気で触れていたと思う。



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