長編

□17.パーセンテージ。
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初めて、朝が来なければいいのにと願った。






「あ……ァ…………っ」

「名無しさん……ッ」





暗闇に在るのは互いの熱と溢れる吐息。

何度も何度も求めあって、
繋がる場所がぐちゃぐちゃに溶け合って、混ざり合う。


ダリルが触れた場所が痺れるように疼いて、私はただ必死にしがみついていた──……。



暗さに慣れた目が写すのは、息を切らして私を貪る彼の姿だけ。
大好きなブルーの瞳に自分が映るのを見て、唇を重ねながら再びナカに在る彼を締め付けた。



「んっ、だ、め……また……!」

「イけよ……ッ俺ももう出る……」

「っや、あぁんっ……」

「く、ァ──……っ」




真っ白に弾け飛ぶ意識の向こう側で、獣みたいに唸る声が聞こえる。

同時に全身をぎゅっと抱き締められるのを感じながら…………限界を迎えた私はそのまま夢の中へと堕ちていく。

















いつも寝起きは、毛布の中で寝返りを打ちながら伸びをして、目を開ける。
だけど、今日は全く身動きが出来ずに、その違和感で目を覚ました。




「ぁ………」

「起きたのか」



私に腕枕をするダリルの胸板が目の
前にある。
頭上から穏やかな声が降ってきて、今日は良い朝だと確信した。



「お、おはよ……」

「あぁ……」


顔を上向かせれば、ちゅっと額に口付けられる。
いつからそうしていたのか、空いた方の手で私の髪を撫でるダリルはとても機嫌が良さそうに思えた。



「…………」



二人共、未だ一糸纏わぬ姿であることに気が付いて途端に恥ずかしさが込み上げる。




「おまえ、寝相悪いんだな」

「そ、そんなこと……!ダリルだって、私のこと抱き枕みたいにして離さないくせに!!」

「抱き心地が気に入った」

「もう!!」



『ピロートーク』と呼ぶにはムードも何もあったものじゃない会話。
だけど、ダリルがからかうような口調とは真逆の、とても穏やかな笑みを浮かべて私を見つめているこの瞬間を……悪くないと思う。

むしろ、こうした戯れの言葉を交わす方が私達らしい。



「ダリル、傷は大丈夫なの?」

「あぁ……あれくらいじゃ傷は開かない。もっと激しいのが好みなら、悪かった」

「…………」


昨日の行為を思い出して途端に心配になった私だけれど、杞憂だったみたいだ。

しかも、あんなにシたのにまだ加減してい
たような物言いに、背筋をゾクりとしたものが駆け上がる。



(冗談だよね……?)




不安が伝わったのか、私の表情を見たダリルが喉奥で低く笑った。
それが『覚悟しろ』なのか『本気にするな』の意なのかが読めず、また薄ら寒いものが全身を巡ったような気がする。







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