短編
□例えば偽りの愛だとしても
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「フランー…暇だね。」
「そうですねー。」
カエル帽子を被った緑色の髪の毛の後輩とソファの上で不貞腐れる。
これが最近の私の過ごし方である。
恋人…ベルフェゴールは新任の幹部のお世話で忙しいみたい。
ボスも、スクも…レヴィやルッスまで付きっきりである。
私はそれが、すごく気に入らない。
「ねぇ、フラン…私って性格悪いのかな…。」
今まで皆私を見ていた…そのリバウンドが来ているものだと思っていたけど…最近、違うのだとはっきりした。
「大分悪いですよねー。」
分かっているんだ。本当は。
私の性格が悪いから、みんなが離れていったことくらい。
分かっているんだ。この子も離れていってしまうことくらい。
「……ベルが、ちょっとでもいいから…こっち向かないかなぁって、思うのは性格悪いのかな…。」
「性格より趣味が悪いですー。」
そんな話をしながら、しばらくは談話室で話していた。
「お腹すいたね。」
「そうですねー。」
皆新任のお世話のせいで、食事どころでは無いのだろう。
食堂へ行ってみると、日本の食卓にありそうなチンして食べてね≠ニいう簡単なメモと適当な夕食が置かれていた。
「はぁー…今日はインスタントじゃないだけマシですねー。」
とフランはちゃっちゃと電子レンジに夕飯を入れ、温め始めた。
違う。これは私が欲しかったものじゃない。
温かい食事を、ただみんなで食べたかった。
皆じゃなくてもいいからさ……もういいや。
私は、冷たいままのその夕食を食べ始める。
温めたって、同じ温度なんだ。
だったら、もうこのままでいい。
「ひーめ、久々に見たけど随分やつれてんじゃん、どしたの?」
聞き覚えのある優しい声が、頭上から降ってきた。
「……ベル?新任の子…は?」
「は?あぁ…あいつ…?あいつはさ…。」
ベルは全てを話してくれた。
その新任の子が不安症でビクビクしていたから全員がついてフォローしなくてはならなかったこと。
自分とボスとスクアーロが中でも気に入られていた事もあって、逃げたら二人の負担になると思った事…。
「……でもさ、その子の事、ベルは…好きなんでしょ。」
「は?何言ってんの?…あんなぶりっ子好きになる訳ねーじゃん。」
冗談キツいと笑いながら、ベルは私の隣に座る。
「王子が好きなのは姫だけだよ?」
なんて言って、ベルは私の頬にキスを落としてくれた。
久しぶりのキスは、頬が暑くなる感覚がした。