刻に抗いしモノ

□妖しくて怖い
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勢いよく起き上がる


伸びてくる腕が触れた胸に手をやっても傷は何もない


寝汗で服が湿って気持ち悪い


息が荒くなって


全身で熱が放出されてるような感覚


熱い



 「どうした!?」


ドアから長身の男が出てきた


前髪で顔が隠れていて


鋭い切れ長の目で


妖しくて怖い人



 「大丈夫か?どっか痛ェのか?」



でも、とっても優しい人



 「大丈夫、有難う」


 「そっか、良かった・・・」


 「ここは?」


 「俺の家。裏路地で倒れてたの覚えてないのか?」



確か、一晩裏路地で大人しく過ごして


その後追いかけられて逃げたら体調悪くなって



 「あ、」


 「思い出したか」



不思議な人


些細な事で微笑んで



 「どうして私を助けたの?」


私を助ければ面倒なことになるってのは解ってたはずなのに




 「放っておけなかった。ただそれだけだ」



少し恥ずかしそうに頬を掻く彼



 「ッ!」



胸が痛い


さっきとは違う痛み


これが、



 「どうした?また具合悪くなったのか?」




















      葦牙の反応
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