刻に抗いしモノ

□行きたいところ
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 「ご馳走様」



 「御粗末様でした」



黒尾が作ったご飯はとっても美味しかった


彼が席を立てば自分のに加え私の食器まで持って行こうとする


私も手伝わなくちゃ


そう思い席を立ち上がろうとした



 「雅狼は大人しく座ってろ」


 「え、でも」


 「いいから」



と、言われてしまったからにはしょうがない












食器を片付け終えた黒尾が戻ってきた



 「雅狼って帰るところあるのか?」


 「ない」


 「ないって、お前まさかの家出少女か?」


 「違う。私はセキレイ」


 「セキレイ?」


 「それ以外は秘密」


 「そこ重要だろ」


 「ダメ。教えたら黒尾が御中に殺されちゃう」


 「御中ってMBIの?」


 「秘密」



間髪入れずに質問攻めにしてくる黒尾


私は一向に口を開くことはない


黒尾を巻き込んじゃダメ


だけど、一緒に居たい



 「私に葦牙はいらない。でも黒尾がその中に入ってしまった

私は後6日間を生きるだけ。」



自分に言い聞かせるように放つ言葉



 「ちょっと待てよ。全然話の先が見えないんだけど?」



 「知らなくていい事だからいいの」


 「なんだよそれ」


 「けど、黒尾は私が守るから」



黒尾はまた訳が解らないといった顔をしている



 「黒尾」


 「ん?」


 「一週間だけここに居させて欲しい」










私の命はもう尽きるから






 



 「一週間か、いいぜ」



 「本当?有難う!!」



そう言って彼に笑顔を向けた
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