DQW本編(短編・SS)

□What's going on
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「サントハイム王家の墓、か」
一行はエンドール領の岬の隅にある、少し寂れた祠の前に来ていた。
「なんだってサントハイム王家の墓がエンドール領にあるんだ?」
ソロは怪訝そうな顔で尋ねた。
「今のサントハイム王朝の始祖の妃はエンドールから参ったのじゃ。その縁でここに墓を建てたと言われておる」
ブライは墓を眺めた。
「とはいえ、わしも姫さまもこの墓に来るのは王妃の葬送の儀以来かのう……」
「そうね……なかなかここまで来る機会はないもの」
アリーナは少し寂しげな表情をしている。
「改めて聞くけど、アリーナ、いや、サントハイム王国第一王女殿。この墓に眠っている国の至宝を持ち出してもいいんだな?」
ソロはアリーナに聞いた。目当ては、この墓に眠るという「変化の杖」。この先、必ずや必要になると思われる、その名の通り「変化」をもたらす杖。
「いいわ。それが世界を、サントハイムを救うためなのならば」
アリーナは真っ直ぐな視線でソロを見た。
「わかった。じゃあこの墓はサントハイムの3人と俺で行く。爺さん、クリフト、構わないな?」
「本来サントハイム王家の縁のものしか入れぬのだが、この際構わぬ。荒らさぬよう心してくれ」
「代々の王家の一族が眠っている墓です。眠りを妨げるような真似はしないように」
「よし、じゃ、行くぞ」
そしてソロとサントハイムの3人は墓へと入っていった。
「アリーナ?行くぞ」
「あ、うん」
ソロたちについていこうとして、アリーナはまた再び足を止めた。
「どうした?」
「姫さま?」
ソロとクリフトがアリーナの様子を伺う。
「……草むしりくらいしとけばいいのに」
そうアリーナは呟いた。
その表情は見えなかったが、いつものアリーナらしからぬ声に、クリフトは眉をひそめた。

「なんじゃこりゃ、トラップの嵐じゃねーか」
潜入してから数時間。未だに目当ての杖は見つからない。
「魔力と体力を回復してくれる泉を見つけたからなんとかなってるけどな……アリーナも爺さんも正しい道順は知らないんだよな?」
「うむ。ここの正しい道を知っておるのは国王とサントハイム城教会の司祭だけじゃ」
「まじ?クリフトの叔父さんは知らねーのかよ、サントハイム国教会のエライ人なんだろ?」
「残念ながら、叔父は知らないはずですよ」
クリフトとブライによれば、そのルートの管理は厳重だ。その道順が書かれた書状は何重にも特殊な鍵をかけられた箱に保管され、代々のサントハイム城教会の司祭に渡っているとのことだ。
王家の葬送の儀の際にしか開けられないため、その道順を知らないまま任期を終える司祭も珍しくない。むしろ、その方が多い。
生前、サントハイム城教会の司祭であったクリフトの父は知っていたが、それは彼が司祭だった頃にアリーナの母である王妃が亡くなったからである。
「んー、クリフトの父ちゃん死んでるしなあ、今の司祭さんは?」
「言うまでもなく行方知れずですよ。国王さまもね。今の司祭さまはその箱を開けたことすらありませんし」
「あ、そっか……」
「とりあえず、行ける道を行きましょう。ここの左はまだ行ってませんね」
4人はとにかく行ける道を急いだ。
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