赤井家

□5:コナン登場
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「おはよう、雪村秀也君」

「おはようございます。今日からよろしくお願いします」

 秀也は帽子を取り帝丹小学校の職員室で笑顔の爽やかな好青年・三島に頭を下げた。彼がこの小学校での担任だ。

「君は背が高いね。身体もガッシリしてるし…。何かスポーツしてるのかい?」

「はい。向こうで空手を習ってました」

「へぇ〜。それは凄いね。ボクは学生時代バスケをしててね、全国大会によく出てたんだよ」

「凄いですね。今もバスケされてるんですか?」

「そうだね。たまに集まって皆でワイワイやってるよ。まぁ、今では飲みがメインになっちゃってるけど」

 三島はアハハと笑いながら己のほおをポリポリと掻いた。

(話しやすい人だな…)

 教室への移動中、秀也は気さくな彼と雑談する。諸々の手続きや挨拶はすでに母親が済ませていたようで、あとは自身をこの小学校に通わせるだけでクリアらしい。

 教室前に着くと三島に制された。

「僕が呼んだら入って来てね」

「はい」

 秀也は廊下で待機した。三島が中の児童たちに転校生が来る事を説明し、入室を促す。

 秀也は教室に入るなり、女子たちの黄色い声を浴びた。

「キャーー!!」「カッコいいーー!」「イケメーン!」「超タイプぅ〜!!」

 秀也は内心げんなりしながらも自己紹介をする。

「はじめまして。雪村秀也です。よろしくお願いします」

 頭を下げるとまたもや女子たちがキャアキャアと悲鳴を上げた。対する男子たちは面白くなさそうに無言の圧力をかけたり、舌打ちしたりしている。分かりやすい反応に三島も苦笑いをする。

 秀也は11歳の割には背が高く引き締まった体躯をしていた。少し癖のある黒髪と切れ長の翡翠色の瞳が特徴的で、それを眼鏡でクールに決めている。

 鼻筋の通った白皙の肌に引き結ばれた口元は意思の強さを示していたし、服装も柄や模様が少ない長袖のシャツにパンツ、パーカー。色や素材の合わせ方やシルエットもシンプルかつ上品で、大人びていていた。

 それでいて所作も口調も丁寧なのだから、非の打ち所がない。

 座席は背の高さから窓際の最後尾となり、着席してからもクラスメートの女子たちはチラチラそわそわと、秀也に熱い視線を送っていた。
 
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