赤井家
□6:喧嘩両成敗
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翌朝、秀也はコナンと一緒に登校した。
「戸籍ってそう簡単にいくつも持てねぇよな…」
「うん。まぁそうだね」
「ホント白峰さんって何者だよ…」
「あはは…」
コナンの呟きに秀也は苦笑いを返した。コナンは秀也をジッと見る。
「…お前、一人息子なのに何も知らねえのかよ?」
「うーん…、大まかには知ってるけど…」
「じゃあ教えろよ!」
「う、うん…」
自分より背丈の低いコナンに迫られて秀也はたじろいだ。相変わらずコナンは秀也にジト眼を向けている。
「…戸籍をたくさん創ったのは、オレたちのご先祖様だよ」
秀也は口を開いた。
「明治初期に始まった戸籍制度を利用して、大量に創ったらしいんだ」
「何でまた大量に? それだけ納める税も増えるのに…」
コナンは首をかしげた。
「ご先祖様たちは昭和初期辺りまで戸籍のレンタルや売買をして生計を立ててたんだ」
「オイオイ。なかなかブラックな商売してたんだな…」
コナンの突っ込みに秀也はうなずく。
「けど、太平洋戦争の時にそういう仕事からは足を洗って、それ以降は自分たちの身を守るために保険として複数の戸籍を所持してるんだ」
なるほどな、とコナンは納得した。
「俺の戸籍もその中の1つが使われたって事か…」
「うん。でも江戸川コナンの戸籍はあくまでもセーフティだから。あまり使わないほうがいいよ」
「だな。役所の記録に残るような事をしたら、逆にコッチが危なくなるだろうしな…」
コナンは目線を上げて考える。
「そうなると工藤新一のほうも触れねーな…。一応俺は行方不明になってる訳だしよ…」
ため息をつく。とここで、ある事実に気づく。
「つーか、江戸川コナンは俺が作った名前だぞ。何でコナン名義の戸籍が存在してるんだ? もしかして記録を改竄した協力者がいるのか?」
秀也を問い詰める。秀也は一歩引いた。
「いないよ」
「じゃあ何で……、ハッキングか?」
コナンはグイグイ寄る。
「まぁそんなトコ」
秀也の答えにコナンは1人で考え込みだした。
「…なぁ。黒づくめの連中を雇った奴かそいつらのボスは、かつてのお前らの顧客だったのか?」
「え?」