幼き花の誉れ 誉れの花の章
□1章 邪竜百年戦争 オルレアン
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ふわふわとした感覚が残っていた。
“わたし”は一体どこで、何を間違えてしまったのだろう。あの時だろうか。いや、それとも別の時だっただろうか。
考えても、考えても、答えは浮かんでこなかった。
振り返っても、大切な仲間も、友達も、いなくなっていた。
その時の私は唯“あぁ、“わたし”はできなかったんだ”と何故だか分かってしまった。どうして、“わたし”が、“わたしだけが”此処に居るのだろう。
帰る場所もなくなってしまった。“ただいま”も“おかえり”も、言えなくなってしまった。ひとりぼっちだ。
結局“わたし”は最低な人間だったんだ。見捨てた。“わたし”に手を差し伸べてくれた皆を、あの子達のように見捨てた。最低だ。どうしようもない位、最低だ。
もういやだ。できることなら、全部、全部、全部、最初からやり直したい。
もう一度、皆に会って“ただいま”って言って、“おかえり”って言ってもらいたいんだ。
それが出来るなら、“わたし”がどうなったっていい。体が壊れたって、心が壊れたっていい。
“忘れられた”って構わない。だってもう、“わたし”を知るひとはどこにもいないから。
―――“忘却”という概念は、最も恐ろしいことである―――