四天宝寺
□メガネ。
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『ひっかーるーーーーん』
パソコンに向かっている光に後ろからぎゅっと抱きつく。
その時にふわっと香ってくる光の匂いが大好き。
「なんやねん」
『光光光〜!!!』
「呼びすぎや…」
『大好き〜っ』
「今日は随分甘えたやな。」
よしよしと、頭を撫でてくれる光のこの手も大好き。
夏なのに少し冷たくて、低体温な光の体温も心地よく思う。
ふふふっと緩んでしまう顔を光の背中にぴとーっとつける。
『光〜?ねえねえ〜ちゅーし、………………………………………………』
「?……どないした。」
『……………………。』
「……名無しさん?」
う、うそ。
え、な、なんで。
なんでなんでなんで!?!?!?!?
ちゅーして〜と言おうとした私の口と思考が一瞬にして止まった。
光の顔を見た瞬間に、私は息さえも止まった。
『…………っぶは!!!!ハァハァハァ……』
「なんで息止めんねん」
『だっだって!!!!!光がメガネしてる!?!?』
「ああ、これ?」
なにこれ!!!
黒髪ピアスのイケメン光がメガネかけてるとかまじで
破壊力ありすぎだろ!!!!!!
おい!!!!!
もう死んでもいい。
チ──────ン
『もう死ねますね』
「な、なんなん…。」
そう言いつつも、わざと倒れてみせる私を背中を持って支えてくれる。
まるでお姫様抱っこされているかのような格好になる。
そんな光の姿もいまや、私のテンションをあげる要素にしか過ぎなくて、心拍数が上がっていくのがわかる。
ほんと、わたし、光オタクなのかも。
『だっ、だって、光のメガネ姿、はは初めてみたから!』
「これパソコン用メガネやねん。」
『いつもしてなかった!』
「健康グッズオタクの部長が誕生日にくれたん忘れとったんやけど、
まあ使ってみよかな思て。」
『いいです!!それ!!使いましょう!!』
「…………はずそ。」
『な、なんで!!!!!!!!?』
「阿呆たれ。」
『ふえっ!』
ふわっと自分の身体が浮いた。
光が私のことをそのままお姫様抱っこする。
ドサッとベッドに放り投げられて、そういうところ雑で光はSなんだと思う。
お姫様抱っこしても絵本の王子様とは絶対かけ離れてる!!!
「なんやて?」
『ひ!……全部喋ってました?』
「メガネなんや、やーめた」
そう言って、メガネをわざと少しズラしていつもの目を見せる光が色気あってまたドキドキしてしまう。
『や、やめないでよ…』
「だって、名無しさんの顔、よう見えんやんか。」
『………………ばか。』
「おおきに。」
『褒めてない。好き。』
「知っとる。」
そう言って、彼は私に口付けをした。
前言撤回。
その姿はきっと
どこからどう見ても王子様でした。
2016.12.21