四天宝寺

□寝起きにキス
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『ひかるーー??』



「…………」



『ねえ、光ーーーーーーー!!』



「うっさいわ阿呆。」



一人暮らしを始めた俺の部屋に、金曜日と土曜日にお泊まりするのが俺らの毎週恒例行事。
2人きりになるなり、夜の時間を楽しんだ昨日やったけど、今日は名無しさんとプチ旅行という名の遠出する予定だった。
てか、何時や……まだ7:00やん。早すぎや。
なんでこの人こんな元気なん……。




『ひっかーーるーーーーーん』


「ぐふっ」




どすんとでも効果音がつきそうなほど、布団の中にいる俺へとダイブする名無しさん。

ほんまに潰れるかと思った。
何考えてんねん、この人。



『はーやーくーー!!出かけようよーーー』


「俺低体温なん知ってるやろ」


『うん?』


「めんど。もう少し寝てからってこと。」


『めんどって言ったーーーー!!』


「ちょ、暴れんでっ」



俺の上でジタバタする名無しさんをなんとか落ち着かせようと声をかけるも、俺の言葉で傷付いたと駄々をこねる名無しさんの耳には届いてへん。

子どもかっちゅうの。



「はあ……。」




まあ、そんなところも可愛えんやけど、天真爛漫すぎるっちゅうか。
時々手に負えへん時がある。


『ぶっ』



名無しさんの頬辺りを片手で掴み、タコみたいな顔にさす。
この顔が何気におもろくて、好きや。

もごもごと、『やめて』『離して』という口にそっと口付ける。


すると、ピタッと動きが止まる。
可愛ええ。なんなん。
大人しくなった名無しさんをそっと避けるように立ち上がる。
ほな、また暴れる前に用意せな。
そう思って着替えるために服に手をかけた時だった。



『ひか、る』



クイッと、俺の袖が引っ張られる。
その声の方向をみると、名無しさんが頬を染めて上目遣いで口を開いた。


『もういっかい』



んって、恥ずかしがりながら目を瞑った彼女が可愛すぎて、愛しすぎて。

もう一度、その唇にキスを落とした。



「アカン。」


『ひあっ!!』


「あほ。」


『ちょ、光!出かけるんじゃ…!』



「名無しさんが悪いんや」



『なっ……!!』





名無しさんともう一度ベッドへ逆戻り。



「今日はもう出かけへん。」






あんたが可愛過ぎるのがアカンのや。
俺のせいやない。

どこか行くんのもええけど、
こういう休日もええなと改めて思う今日やった。








2016/12/13

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