四天宝寺
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それから一週間、金ちゃんや銀、千歳、小石川も加わり、二人への色紙を作成した。
名無が主に作成してくれたが、出来は女の子だけあってとても可愛らしい仕上がりになった。
これはもらったら喜ぶわ。誰もがそう確信した。
「さすが名無ちゃんやー!!」
「金ちゃんもよう頑張ったなあ」
金ちゃん、千歳は完成した色紙を見て、そう言った。
代表して、名無がその色紙を持つことになり、あとは当日どういう流れにするか今一度確かめて、部活後のファーストフード店での会議は終わった。
いつものようにそれぞれが帰ると、俺と名無が二人になる。
『いよいよ明日だね!』
「二人とも喜んでくれるとええな」
『ほんとだね!こうやって、部活のあとみんなで集まるのも楽しかったなあ〜』
私、転入してきたのにみんなが嫌な顔しないで受け入れてくれたのがすごく嬉しかったんだ、と少し寂しそうな顔で話した。
『転校が決まった時は本当に不安で。
しかも、大阪って!ってなってたし…』
「今は立派な四天宝寺中の三年生やん。」
えへへ、と笑う名無と帰る道。
今では当たり前になったんやけど、出会ったばかりの頃のふわふわした気持ちはなくならなかった。
『あ、蔵。この間教えてもらった健康グッズ、買ったの!」
「ほんま!?どうやった?」
『めっっっちゃ良かったわ!!』
「やろ!ほな、またええの見つけたら教えたる」
『ありがとう〜!どんどんキレイになっちゃうかも〜なんてね〜』
「そのままでもキレイやで。」
『え…?』
「え?」
…しまった。俺いま口に出してたんか?
え、言ってしもうたんか。
「ほんまのことやろ」
冷静を保とうと、そう言って俺は笑った。
名無といると、どうしてもパーフェクトを保てない自分を最近知った。
ここにきても出てしまうなんてな。
引いてしまったんやろうか、名無は固まって、ずっとこちらを向いている。
「名無?…」
『あ、え、えっと…なんかドキっとしちゃって…
ごめん、冗談だよね!本気にしちゃうからやめてよ〜っ』
ぱすっと腕を軽く叩かれた。
よく見ると、彼女の頬がほんのり赤かった気がした。
期待してしまう。
同じ想いやないのかと。
はははと二人で笑いながらも、いつも通りの会話へと徐々に戻っていった。
冗談やないのに。
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