四天宝寺

□After
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今年のバレンタインデーに
俺と名無は付き合う事になった。



その後、ちゃんと謙也に報告したが
わかっていたかのような態度をとられて、戸惑った。




「実はな、クリスマスの日、名無に告白しててん。」



「え…?」




「ま、断られてしもうたけどな〜!」




そうやったんや…。
そう思うと、あの日からの名無と謙也は少し気まずそうにしていたような気もした。



「はっきり言われたんやで!
白石のことがすっき〜ってな!!
ほんまにムカつくわ白石!…俺の完敗や。」



「謙也…。」



「ま、頑張りや。
何かあったら俺がいつでも名無を奪いに行ったるからな。」





そう言った謙也は、真剣そのものやった。

あのとき、正々堂々戦う言うてたんのも、わかった上で俺の背中を押してくれたんやと理解した。


なんや、謙也…お前男前やん。



周りに助けてもらってばかりや。
テニスをはじめ、なんでもパーフェクトと言われる俺やったけど、ほんまは違ったんよ。

いつでも助けてくるやつがおったし、
何より今では俺を支えてくれる名無がおる。




『蔵?テニス部のみんな待ってるよ』



「おん」




名無が俺の手を引いて、みんなのもとへ駆け寄る。






「先輩ら、おめでとうございます」



「…ほんまに卒業したん!」



「せやで、金ちゃん。俺らもうほんまに卒業や。」




謙也が一番にお祝いの言葉を言うと、改めて俺らがいなくなってしまう事への寂しさで泣きそうになる金ちゃん。
そっと頭をぽんと撫でた。



「はぁ、静かになってせいせいしますわ」



「なんや財前、ほんまは寂しいとちゃ・う・ん〜」



「寂しいっすよ。………名無しさん先輩がいなくて。」



「おい!!!一瞬でも財前かわええなと思った俺の気持ち返せ!!!」




「謙也さん、きしょいっすわ。ね?名無しさんさん?」




『そこに私を巻き込まないでよっ』




「名無ちゃんおらんの嫌やぁぁぁ〜〜」




『き、金ちゃんっ!?』




あはははってみんなで笑い合った。
散々話したあと、みんなで記念撮影をした。



「白石部長。」



ふと名前を呼ばれた。



「部長はお前やろ、財前。」




「っ…。白石先輩。
俺がテニス部を全国へまた連れて行きます。」





「おん。勝ったモン勝ちや。」





涙ぐむ財前の肩をそっと叩いた。
今度はお前らの番や…。





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