四天宝寺
□2
1ページ/8ページ
名無が東亰から四天宝寺中学校へ来て二ヶ月が経った。
大阪での生活にも慣れてきよったようで、大阪弁もたまに出てしまうほどやった。
「ほんでな、金ちゃん何持って来よったと思う?」
『えっなになに』
「ルーズリーフ!!」
『なんでやーっ!』
「ひぃ、お、俺…シーブリーズ持ってきって言った、んよ…」
『っ〜!金ちゃんさすがすぎぃ!』
となりで爆笑している名無と謙也。
今日も授業が全部終わり、部活に行く途中やった。
二人は意気投合したようで、毎日楽しそうに会話しよった。
そういう俺は、全然まともに名無と話せんでいた。
二人は会話に入れようとしてくれるんやけど、混ざるのはそのときくらいやった。
二人の間になかなか入っていけるような気もおこらんくて、それに最近謙也を見ていると不思議な気持ちになる。
嫌いとかやないんやけど、もやもやするというか…。
「俺、部活前に財前に話あるから、二人先行ってな」
そう言うと、謙也は二年の教室へと走っていった。
『わかった!あとでね〜』
「部活で話すんはだめなんかな」
『実はね、さっき話してたんだけど
小春ちゃんとユウジくんの誕生日もう少しだから
サプライズしようってなったの!』
正直、企画に驚いたというよりも、俺の知らない間に二人がそんな話をしていたことに驚いた。
と、同時に先ほどのもやもやが増した気がした。
楽しそうにサプライズの内容を話す名無を横に、俺はうまく笑えんかった。
どうやら今日話しになったらしく、謙也は財前に、名無は俺に説明しとくという事になったらしい。
『どうかな?』
「ええやん。来週楽しみやな」
『うん!』
そういうと、名無は文字通りるんるんになって歩いていた。
そんな彼女をみて、気付いた。
最近俺は、嫉妬しているらしい。
もっと名無と話したいのに…。
.