short


□feeling horny!
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自分の家のように落ち着くリビングで、上質なソファーに身体を預けエアコンをつける。行儀は良くないがうつ伏せに寝転んで脚をぱたぱた宙で泳がせて、ソファーの感触を楽しんだ。


生憎家の主は留守だったようで、数日前に貰った合鍵で中に入らせてもらった。彼の部屋らしくすっきりと無駄な物の少ない室内を見渡して、夏の暑さに上昇した体温がエアコンの風で冷まされていくのを感じていたとき、頭の下にある硬い感触に気が付いてクッションの奥に手を忍ばせた。


指先に当たったのは最近一緒に買ったゲームで、私と一緒に進める約束をしたのに抜け駆けしたなと心中で文句を並べながら、電源を入れて小さな画面を覗き込む。


「……やっぱり、悠くん抜け駆けしてる!私よりだいぶ進んでるし!」


データを見るだけのつもりでゲーム機を操作していく。あまりの進み具合に呆れつつも、攻略した履歴を見て感心する。


熱心に画面を覗き込んでいたせいで、部屋の主が帰って来たことに気付かなかった……いや、意図的に気配を消して近付いてきたに違いない。


突然影が出来たことで無防備に振り返り上を向いた私の後頭部に回された手。引き寄せられたかと思ったときには、唇を塞がれていて、驚き声を上げようと開いたそこへ彼の長い舌が入り込んでくる。


「んぅ!……はっ!」


逃げようとしても絡め取られ、柔らかく擦り合わせたかと思うと軽く吸い上げられる感覚に身体の力が抜けたとき彼はそっと離れていった。やっと離された唇から新鮮な空気を吸い込み彼を見つめる。


「只今帰りました。名前さん。」

「……お帰りなさい。」

「やはり合鍵渡しておいて正解でした。」


長いキスから解放された私は再びゲームへと向き直ったが、私の足を掴んでソファーから引き摺り落とそうとしてきた彼に抵抗してクッションを掴む。


「きゃ!何っ?」

「特に理由はありません。」


上半身だけソファーに預けた状態で背中に彼の熱を感じて、身の危険を察知した。


「待って悠くん、何するつもり?」

「家に帰って名前さんがいるなんて、無防備にそんなところに寝転がっているから……ほんの少し欲情しました。」

「や、今日は取り立ても行ったし、疲れてるん……やぁ!」


断りの言葉を拒否するかのように背中を撫で上げられて思わず上擦った声に気をよくしたのか、服の上から厭らしく胸を揉み上げては耳元へ息を吹き掛ける彼にされるがままになってしまう。


的確に感じる場所に触れられて、力の抜けた私に覆い被さる彼のものが太ももに当たる。その固さを嫌でも意識してしまい、引いた腰。だけど回された腕が逃げることを許してくれなかった。


「……ん、あっ!」

「可愛いですよ。」

「やだ、こんな体勢恥ずかしい。」

「もうそろそろ、いいですか?」


噛み合わない会話に彼の余裕の無さを感じて、乱暴に脱がされたシャツに、ずらされた下着に、湿り気を帯びた下半身に、羞恥心を掻き立てられる。


ゆるゆると入り口を辿っていた彼の指が私から離れて、金属音を奏でた。どちらのものかわからない吐息だけが静かな部屋に響いて、それが止まったとき、ちゅと腰にキスを落とされる。そしてピタリ、添うように当てられた熱を感じて無意識に握った拳。力の籠った指を一本一本解くようにして重ねられた手に自ら指を絡めた。


「名前さん……っ」

「ん……んっ!」


呼ばれた私の名前に応える前に感じた圧迫感に、今までで一番大きな声を上げる。


気持ちよさに震える私の背中に口付けを何度か落とし、軽く肩に噛み付いた彼が熱く耳元でささやいた。


「動いていいですか?」

「ん、動いて。」


返事を合図に私を揺らすよう体重をかける彼の胸板が熱かったことが、私の体温を上げていく。


押し寄せる快感に、声にならない声と吐息を漏らす。腰を掴んだ彼の手に自分のものを重ねて振り返ると、普段の彼からは想像も付かないほど情熱的なキスが降ってくる。


「はぁっ……もう、だめ。」

「俺も……。」

「いっていいよ。」


一際強く突かれて、ぎゅうと抱き締められた。



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