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□ついつい欲情しただけです。
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プロトポロスに入卍し少し経った頃、弥鱈立会人から運営と話がついたと連絡を受け取った際に背中へ感じた熱烈な視線。それに気付かぬふりをして、隣にいた南方にアズラの状況を聞いていると後ろから聞こえた咳払いにやはりと若干うんざりしながら振り返った。


振り返ったとたんに飛び付いてきた名前を咄嗟に受け止め、どうしたと訊ねると顔を赤らめ見上げてくる。


「ヤンキー座りしてる門倉さんがかっこよくて、ついついムラっときてしまって。」


思わぬ言葉に目を見開いていると、またまた聞こえた咳払い。そうだ、南方と話していたのだった。名前を背中に隠すように南方へと向き直り何か聞かれる前に話し出そうとしたが、それよりも先に質問された。


「……門倉、お前プレイヤーに手を出したのか?」


にやにやと笑いながら名前を覗き込もうとする南方から見えないように後ろに隠しているのにも関わらず、張り切って前に出た名前が自己紹介をする。


「私、賭朗掃除人の名字 名前です。門倉さんのお手伝いの為に奴隷としてプロトポロス入りしちゃいました。」


にこにこと笑う名前と、こちらを見てにやにや笑う南方。微かな頭痛を覚えながら、南方の意味深な視線に答えるように溜め息を吐いてから名前の言葉に続けた。


「察しの通りじゃ南方、だからニヤニヤすんな。それと、名前がここにおることあんまり人には言ってくれるな。ワシの弱味になる。」


「あー、はいはい。了解。黙っとくよ。」


「悪いね。」


「それにしても、彼女いたんなら紹介しろよ。可愛いじゃないか。何で奴隷かはわからんが。」


相変わらず、じろじろと名前を見る南方を睨み付けると掌を此方へかざし、「参った参った。」と笑うので少し恥ずかしくなって顔を背けた。


「……見た目はね、中身はポンコツや。」


「はっ!またまた!」


南方と話しているのを、手を繋ぎながら聞いていた名前が思い出したようにくっついてきた。


「……門倉さん、さっきの門倉さん見て、もう我慢できないんですけど。」


小さな声ではあったが、南方には聞こえていただろう。邪魔したと去っていく間際の南方の顔がそれを物語っていた。


「……名前、甘えてくるのはワシも悪い気せんけどね。タイミング考えろ。」


「さっきの人と話してるとき、堅苦しい口調じゃなかったからいいかなって。それより、キスして下さい。」



完全にこちらの話は聞いていなかったが、甘えられたり、求められるとやはり嬉しいものだなと彼女を責めることはしなかった。


ぐいぐいと人のいない方へ押しやって来る名前にされるがままに連れてこられた小さな小屋に入った途端、首にすがり付いて唇を合わせてくる。


次第に深くなるキスに応えていると、ネクタイに指を掛けられ外されていくボタンに驚いて名前の手を掴んだ。


「ちょい待て。このままここでするつもりか?」


直ぐ様手を払い除けられ、「駄目ですか?」そう窺う瞳は熱っぽく潤んでいて、その間にもはだけさせられていく衣服の間から触れてくる掌にぞくりと背筋に快感が走り、息を飲んだ。


いよいよベルトに掛かる名前の手を今度こそしっかり捕まえて、此方からさっきよりも激しい口付けを落とす。


「……急に何で盛っとるん?」


「だって。しゃがんでる姿に、男の人感じた。それより、ね、早く。」


「よくわからんけど、積極的なんはええね。」


何度も口付けを交わし、名前の服も脱がせていく。普段、戦士だかなんだか知らないが露出の激しい格好をしているくせに、脱がせようとすると隠す仕草に随分そそられる。


ついつい乱暴になる愛撫に素直に反応する様を見て思わずくつりと喉を鳴らし、目の前にさらけ出された胸へと噛みついた。



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