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□ふかふかまくら
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胸元にすがり付く白い頭をふわふわと撫でて、男性ものの香水と少し汗の混じった匂いを深く吸い込む。良い香り。彼のこの匂いは大好きだけど、もう2時間近く同じ体制でいるため、身体が痛い。


「貘さん!そろそろ離れて。」


「ん〜、やだ。もうちょっとだけ。」


眠たそうな、それでいて甘えたような声で答えた彼は私の胸へと顔を擦り付ける。


「…………おっぱい星人。」


ぼそっと漏らした文句に、思いの外反応した彼は生き生きとした顔で私を見上げながら捲し立てるように話始めた。


「何言ってんの!?名前ちゃん!男なんてみんなおっぱいが大好きなんだよ。嫌いな男なんて世界中どこ探してもいないんだから!……だから、ね?もう少しこのままでいさせて。」


「貘さんはその中でも、上の方でしょ?」


「……梶ちゃんには負けるかな。」


はいはい。と再び胸へと押し付けられる頭をポンポンと撫でると背中に感じたいやらしい手つき。


「ちょっと、貘さん。」


「ん〜?なに?」


とぼけた調子で言ってきた割には、背中を這う手はしっかり下着に掛かっていた。ブラジャーの上を男の人にしたら細い彼の指が何度かなぞったと思うと、ホックが外された。


締め付けからの解放感と同時に迫る自身への危機を感じて身体を強張らせる間に背中から胸へと滑るように辿り着いた冷たい手にやわやわと揉まれて擽ったくて身を捩った。


「貘さん!梶ちゃんとマー君帰って来ちゃうから……。」


「来なかったらいいの?」


ニヤニヤ笑いながら見上げてくる綺麗な瞳から逃げるように顔を背けると、頬にちゅっとキスされ耳元で聞こえた声。


「ね、俺、したくなっちゃった。」


私の返事を待たず、今度こそ煽るように寄越される胸への愛撫に上がりそうになる声を抑える為唇を噛んだ。


服の上から感じる貘さんの吐息にいちいち反応して、彼の頭を抱き締めるとクスクス楽しそうに笑うので「ばか。」と更に強く締め付ける。


「ね、名前ちゃんもしたくなった?」


「……なってない!」


「嘘つき。」


やっぱり綺麗な彼の顔がすっと近づいてきて、見た目よりもずっと強引なキスが降ってくる。


もう、身を任せてしまおうと彼の首へ腕を回すとフワリと浮いた身体にびっくりして悲鳴をあげた。


「ベッドまで運んだげる、お姫様。」


ひ弱な貘さんがお姫様抱っこなんてと今度はこっちがクスクス笑うと


「何さ!格好付けてんのに!」


顔を赤くした彼に私からキスをして、また白くてふわふわの髪に手を伸ばした。



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