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□絶対的告白。
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いい加減解放してください。



その台詞が言えずにどのくらいの時間が経過したのか、腕時計を確認することすら出来ない小心の名前は行く手を阻む猫背の男からのじっとりとした視線を一身に受けて背中を伝う嫌な汗を感じていた。


「で?どうです?決まりましたかぁ?」


「決まるも何も、私……弥鱈立会人のことそういう風に見たことなかったですし。上司としては尊敬していますよ。」


つまり、貴方の事は何とも思っていません。と言ったも同然の名前に詰め寄る弥鱈。困惑の表情を浮かべる彼女を気にもとめない様子で続けられた弥鱈からの言葉に困惑の色を濃くさせる名前。


「ですから、今日この瞬間から男として意識してくだされば結構ですよ。そのうち性的対象として好きになっていただければ。」


「……性的対象としてって。」


「私ははっきり言って、ただの部下としてではなく……女性として、貴女の事が好きです。あわよくば、抱きたいとさえ思っています。なので、仕事仲間として好きだと言われても困るんです。」


下心もここまではっきり示されると、むしろ誠実にさえ思えてくるのだから不思議だ。いや、もうこんな事を思わされている時点で彼のペースにハマっているのかもしれない。


そう感じながらも名前は目の前で自分を口説く男を観察した。一介の黒服である自分に、立会人が告白してくるなんて。それもかなりの実力の立会人、はっきり言って彼氏にするにはハイスペックだ。弥鱈のことを男として意識したことは1度もなかったが揺れないと言ったら嘘になる。


考え込む名前をどう捉えたのか、弥鱈は提案する。


「とりあえず、OKして徐々に好きになって下されば私はそれで満足なんです。名前さんも早く帰りたいでしょう?"はい"と言うだけでいいんですよ?」


脅しのように控え室入り口のドアを塞ぐ弥鱈に、そもそも告白はこんな風にするものじゃないときつく返した。


「やっぱり、好きじゃない人とお付き合いするなんて。」


「好きか嫌いかなんて、お付き合いしてみないとわからない。そうでしょう?」


ひねくれた上司だとは思っていたがここまでとは、私がイエスと言うまで退かない気だ。……呆れを通り越して感心する名前の髪を一掬いした弥鱈が囁いた。


「大丈夫です、名前さん。貴女はきっと私のことを好きになります。」


髪を掬う手が少し震えていることに気付いた名前は急に弥鱈が弱々しく見えて今までの強気な態度も強がりだったのかと微笑んだ。


「……すぐに好きになれるかはわかりませんが、少し気になっています、弥鱈立会人のこと。」


その言葉を聞いて安心したように表情を緩めた弥鱈と目が合った名前は、そっと抱き締めてきた細身の背中に応えるように腕を回した。




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