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□彼のライバル
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久しぶりに二人の休みが揃ったので、家に来るかと誘いをかけたが名前は家を空けられないので来てほしいと言う。いつも自分の家に招くことの多かった門倉は彼女の家も良いかと頷いた。


彼女の家に着きチャイムを鳴らすと中から、開いてるよー!と声が聞こえる。


なんや、手ぇ離されへん事でもしとんのか。とリビングへ向かう門倉の目に入ったのはソファに座り膝に乗せた猫を撫でている名前の姿だった。



「…いつの間に猫飼うたん?」



不機嫌そうに尋ねる門倉に名前は


「友達が旅行で、ちょっと預かってるんだー!雄大くんに似てて可愛いでしょ!男の子なんだって!…猫嫌いだった?」



そう言いながら猫を抱えて見せてくるので門倉は猫を覗き込む。


左の耳だけ白い黒猫、門倉のことを睨んでいるように見える。可愛くないと内心思いながら


「わしと似とるか?目付き悪いよ…」


門倉が猫に手を伸ばすと、ふっと猫が門倉の手を避ける。



こいつ!今避けたね、完全に。やはり可愛くないと舌打ちする門倉に気付かず名前がお茶淹れてくるねと猫を膝から降ろしキッチンへ向かった…名前の姿が見えなくなった瞬間、猫が尻尾を床にペタペタと叩きつけながら門倉を見据えているのに気付き、



「可愛くないやつじゃ、ええか名前はわしのや。わしがここにいてる間はお前のおる場所は名前の膝の上やないよ。わかるか?」


猫に話し掛けるが、ふん!と顔を反らしてキッチンへいる名前の方へと向かおうとする。しかも門倉の足を踏んで。



おどれ!完全に売っとるね、わかったわ…そっちがそのつもりやったらわしも猫やからって手加減せんからな。などと猫を睨み付けながら名前をソファで待つ門倉。



戻ってきて門倉の隣に座った名前の膝の上に素早く自らの身体を預けようとする猫を門倉は片手で掬い上げると床に置いた。


可哀想だと文句を言う名前に



「こいつ、雄やんね?それを膝の上に抱く気か?他の男のこと可愛い言うんか?」



逆に文句を溢す門倉を見て目をパチパチとさせた名前は笑いながら


「雄大くん、猫ちゃんにヤキモチ妬いてるの?」


尋ねる。



「…妬いてないよ。ただ、こいつがわしの足踏んだり名前の膝の上から勝ち誇ったような顔しよるからの。」



そう言ってる間にもまた猫が名前の膝の上に乗っている。
そんなことないよ、可愛いじゃんと猫を見ている名前。彼女が見ている時は猫は可愛らしい顔をしているのだ。そして門倉にだけ生意気な視線を寄越すと名前へ向かってにゃあと可愛く鳴き名前は名前でこんなに可愛いのにねーと猫の頭にキスを落とす。そして猫は門倉を小馬鹿にした態度で見るのだ。



とことんやる気かおどれ!と門倉は猫を名前の膝の上から追い払うと名前を抱き寄せキスをした。何度もキスを繰り返すうち、門倉に抱き付く名前の頭を優しく撫でながらちらりと横を見ると此方を睨む猫の姿。


これでわかったか、名前はわしのなんじゃ。おどれが甘えてええ相手ちゃうんじゃ!と再び勝ち誇る門倉の背中を引っ掻く猫を無視して



「…続き、あっちの部屋でするか?それかこのまま猫の前でするか?選んでええよ」


真っ赤になった名前の耳元へ熱い吐息と共に囁くと、馬鹿と呟きながらキスを返して来た名前を抱き上げ猫に向かって


「わしの勝ちじゃ。」


勝ち誇ったように不謹慎な笑顔を向けるのだった。

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