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□我慢の限界
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名前は目を開けられずに自分の鼻先に掛かるかすかな息に集中していた。



「なぁ、ええかげんに目ぇ開けてくれんかの?わしかていけずしたいんちゃうんよ。そろそろ先に進んでもええと思うんやけどね。」



先程からこの調子だ。門倉との付き合いはプラトニックな訳ではないが、いつも艶っぽい雰囲気になると名前が恥ずかしがって目を瞑るし無口になるのだ。



「な、こっち見てや。」



門倉の何度目かの声かけに恐る恐る目を開いた名前だが



「やっぱり恥ずかしい。電気消して下さい。」

涙目で門倉に訴える。




「そんなとこも可愛いと思うけどね、わしも名前ともっと色んなこと楽しみたいんよ。な?」




やけに色んなの部分が強調されていた気もするが聞こえない振りを決め込む。



「しょーがないね、こんなことしたくなかったけど名前が悪いんよ。」



そう呟くのが聞こえたと同時に両腕を大きな手でベッドに縫い付けられ深く口付けられた。



息が出来なくなり薄く唇を開けばそこから無遠慮に門倉の薄い舌が侵入してくる。



酸素が薄いせいなのか、門倉のキスに逆上せたのか名前の瞳がどんどん潤んでいく。



「エロい顔するくせにのぉ。素直になれや。」



なんて耳元で囁かれたら堪らない。恥ずかしさの頂点に達した名前は自分の唇をふさいでいた唇に噛みつき門倉が驚いた隙にお互いの距離をあける。



「やだ!もうこんなに恥ずかしいことしない!」

泣き出す始末だ。



流石に泣かれては困るとオロオロする門倉だが、もう名前は聞く耳を持たずだ。



「わしが悪かったから、機嫌直してや。今からお前が行きたい言うとったケーキ屋でも行こか?」



慌てて機嫌を取ろうとする門倉に名前はじっとりとした視線を送りながらも



「手繋いで行ってくれたら、許す。」

少しだけ笑った。



「…惚れたら負けやね。けど、いつまで我慢できるかわからんよ。」



ため息をつきながらも名前が可愛くて仕方のない様子の門倉だった。



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