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□嫉妬深い彼
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名前は朝から困っていた。隣で穏やかな顔をして寝ているこの男が原因である。


そもそもは昨日、この男基門倉が名前の家を訪ねて開口一番に言った台詞が始まりだった。


「梶 隆臣に会ったんやってね。」



それがいつのことかわからなかった名前は

「そうだったかな?」

曖昧な返事をしたのである。



だか、門倉はそれを良い意味に取らず

「ほう、梶と会ったこととぼけて隠すつもりか。」


とまあ、大人げなくも拗ねてしまった。



どうして名前が梶と会ったのかと言うと、簡潔に説明してしまえば偶然出会っただけなのである。



ただ、名前の休日に門倉は仕事であった為一人で近所のカフェにいたところに梶とマルコが通りがかった。以前、名前が梶の立ち会いをしたことがあったので声を掛けられただけのありそうな話だ。



だが、門倉は梶の人となりを多少なりとも知っているため、名前が梶のタイプであろうことはわかっていた。その事を本人に言うのは格好がつかないし、ただ黙っていることも出来ずに出たのが


「梶 隆臣に会ったんやってね。」

と言う台詞だ。



そこから拗ねてしまった門倉に名前がいくら声をかけても不機嫌オーラを漂わせながらふて寝してしまったものだから



ついつい可愛くなって


「雄大くんのことが好きだよ。どうしたら浮気してないって信じてくれる?」



なんて言ってしまった名前を素早く抱き締めた門倉は


「名前からキスしてくれたら信じるかもしれん。」


艶っぽく呟き目を瞑った。


「恥ずかしいから1回だけだよ!」



名前が門倉の形のいい唇にそっと自分の唇を重ねようとした瞬間


門倉の大きな掌が名前の後頭部に、逞しい腕が腰に廻され深いキスをされる。



息をするのもやっとな様子名前はしっかりと目を閉じており顔は真っ赤だ。



「ん、もっと…」


「は、お前いつからそんな煽るのが上手ぉなったんや。」



少しばかり機嫌が直った門倉。そのまま名前が意識を飛ばすまで可愛がり冒頭に至ったのである。







「雄大くん!起きて!これ何なの!?」


「んー、もうちょい寝かせてよ。」


髪をかきあげ寝惚けながら言う門倉に


「このキスマーク!服着ても隠れないよ!」


怒る名前。


「それなぁ。ええやろ。これで今日の梶の立ち会いの時アピール出来んな。隠すなよ。」



すっかり目が覚めてご機嫌な様子。にこにこと名前が支度をするのを眺めながら


「今日が梶の立ち会いってたまたま
知っとってよかったわ。現場まで送ったるからのぉ。」


笑いながら自分も支度し始めたのだった。


梶のやつわしの名前に色目使わんようにしっかり釘刺しとかんとな。


名前に見えないよういつもの笑みを浮かべて車のキーを手に取った。



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