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□限界になる前に教えてください
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朝からゲーム画面に釘付けで此方を見ない弥鱈さんの背中を見つめて小さく溜息を吐いた。


「弥鱈さ〜ん、せっかく可愛い彼女が泊まりに来てるのにゲームばっかりなんて寂しいんですけど!」

「もう少し待って下さい。」


さっきからそればっかり、そんな言葉は飲み込んで彼の寝転ぶソファーにもたれ掛かり天井を仰いだ。ちなみにソファー自体は弥鱈さんが占領してしまっているので、私はその前の床に腰掛けている。


退屈しのぎを探すよう部屋中に視線を走らせていると、ふと感じた彼の呼吸。ちらりと彼の方を窺うと想像していたよりも近いお互いの顔に今がチャンスだとまじまじと観察する。


普段じっと見つめると、誘ってるだとか言われてあっという間に組み敷かれてしまうのでこんな時くらいしか彼の顔を見つめる機会もないかもしれない。


あまり外に出るのが好きじゃない弥鱈さんの肌は白くて滑らかだった。羨ましいと思いながら時々しか合わせてくれない瞳をじっと見た。意外と長い睫毛に、整った形の唇……もっと社交的な表情をすれば格好いいのに、心の中で呟いてそっと髪に手を伸ばす。


見た目よりも柔らかい髪を手櫛でといでみたり、一房を指に絡めてみたり……随分夢中になっていたらしく急に掛けられた声にビックリした。


「名前さ〜ん、くすぐったいんですけどぉ。」

「あっ、もうゲーム終わったんですか。」

「ええ、随分前に。それより……」


ずいっと顔を寄せてきた弥鱈さんにどきりと高鳴った胸を押さえて少し後ずさった。


「遠慮なさらずに、ほら、構って欲しかったのでしょう。」

「いえ、大丈夫で……んっ!」


愉しそうに唇で弧を描いた彼に身の危険を察知したのと同時に頭を引き寄せられて塞がった視界と降ってきた熱いキスに力が抜ける。


「……はぁ。弥鱈さん、今日は出掛ける約束。」

「貴女が誘ったんでしょう……夕方からに変更です。」



チラッと時計を確認した弥鱈さんが言ったあと、私のワンピースに手を掛けた。




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