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□予定と違うけど案外しあわせです
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小さく身震いして私の中に熱を放った彼が、はぁと熱く息を吐いて私の上から身体を退け髪を掻き上げる様子をじっと見上げる。


ごろんと横に寝転んで私の身体を軽く撫でた後、サイドテーブルからテレビのリモコンを持ち上げて徐にテレビを付けた彼に内心溜息を吐いた。


「お!勝っとるな。」


野球の試合経過が気になっていたらしく、小さな声で呟いて煙草に手を伸ばす、何時もの動作をじっと見守る。ライターのカチリという音を聞いた後、彼が吐き出す煙を払いながら後ろから私を抱き寄せる手も同時に払ってやった。


「……雄大。えっちの後すぐにテレビつけるのも、タバコ吸うのも、最低だよ。」

「ん?満足せんかった?」

「そうじゃなくって。」


煙草を灰皿に押し付け、胸をやんわり揉んできた手を押さえて抗議の声をあげた。


「もっとこう……ムードというか、余韻というか、なんか、あるじゃん?」

「何やわかりにくいの〜。やっぱりさっきのじゃ不満やったってことか?」


仰向けに返されて鎖骨に舌を這わせる彼の髪をぎゅっと掴む。


「そう!ピロートークとか後戯とか言うじゃん!まったり明日は何しようか、とか今日の仕事の話したり……。」

「ハッ!仕事の話なんか、血生臭いだけじゃろ。抱き締めて、テレビ見て、そのまま寝る。じゃ不満か?」

「……不満ではないけど。」


そうじゃろ。と胸に噛みつかれて小さく漏れた吐息を聞いて、意地悪そうに見上げてくるので、諦めるものかと反撃の言葉を探した。


「……私、小さいときディズニーに憧れてたんだ。プリンセスね。」

「ほうか。」

「ちょっと!吸ったまま喋らないで!……将来はこんな王子様が現れるんだって期待してたのに。現実はこんなの。」

「こんなのて何じゃ。ワシかて王子様じゃろ。」

「どこが!王子様って言うのは、もっと紳士的で落ち着いてて……そう、判事みたいな人だよ!」

「おどれ……名前。ベッドの中で別の男の名前出すとは大した度胸じゃ。」

「っやぁ!ばか!ちゃんと聞いてよっ!」


それっきり全く私の話を聞いてくれなくなった雄大にいいようにされて、何度も何度も絶頂に追い込まれた。


彼が満足しきる頃にはぐったりしてしまい、微睡む意識の中で唇に優しくキスされた気がして力を振り絞り目を開ける。


「ん。起きたか。よう寝てたね。」

「腕枕、してくれてたの。」

「いつもしとるやろ?」

「ううん、してない。」

「……っ!おどれがピロートークだの後戯だのいうたんじゃろ。やのにすぐ寝るし。」

「それは!雄大が……。」

「ワシが何て?」

「やめてっていっても無理矢理したから!」

「ククッ。随分感じとったの。それで、まだ判事がええんか?」

「ばか。そんな事言ってない。」

「そうか〜。」

「まあ、雄大で我慢するよ。」

「強がるな。」


相変わらず私の頭を撫でる彼に抱きついて、逞しい胸元に唇を寄せると抱き締め返してくれる。


彼に聞こえないように「気にしてたんじゃん。」と呟いた。



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