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□いい加減懲りてください
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何時も名前は弥鱈の髪を整えようとする。今日だって、ゲーム機片手にソファーに脚を投げ出す弥鱈の元へ近付くとドライヤーとブラシを見せた。


「ね、悠助!1回でいいから夜行立会人みたいにピシッと決めてみない?」


一瞬だけ彼女を捉えた視線を直ぐに画面に戻してどうでも良さそうに欠伸をした弥鱈にしつこく食い下がる名前。


「…嫌ですってばぁ〜。何度も言ってるでしょう。それに、似合わないと思いますよ。あれは顔の整った人だから似合うんです。私がやっても格好悪いだけです。」


「やってみないとわかんないよ。」


笑顔で髪にブラシを通してくる彼女に暫く好き勝手させていた弥鱈だが、いよいよ髪を後ろへ持っていくため整髪料を塗り付けようとするその手を掴んでソファーに縫い付けた。


綺麗好きな名前は手に取った整髪料が弥鱈やソファーに付かないように不自然に手を浮かせているので思うように身動きが取れないらしい。


「ちょっと!汚れちゃう!離して。」


「嫌ですね。そもそも先に仕掛けたのは貴女でしょう、名前さん。」


仕掛けたって、そんな。言い訳をしようとする唇を塞いでやった。びくっと手を握った名前だったが、掌に付いた整髪料が気持ち悪かったのか直ぐに手を開いて力を抜いた。


その様子を愉しそうに見ていた弥鱈が耳元へ唇寄せる。


「これから、同じ事をしたら貴女にも恥ずかしい目に合ってもらいますからね。」


「…悠助は恥ずかしくないじゃん。」


「いいえ、私だって恥ずかしいんです。」


洋服を脱がそうとすると駄目だと言いながらも手がネックになって動けず素肌を晒す彼女に笑みが溢れる。


本気で駄目なら手など気にせず抵抗してくれないと……まあこれで暫くはドライヤーもブラシも持ち出さないだろうと腕で胸元をガードしている名前を見てから無防備な腹を舐め上げた。




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