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□今が健全で、今までの方が不健全だったんですよ
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あれから益々彼女が自分を警戒する…何てことは残念ながら無くて、どういう思考回路で処理されたのかはわからないが、「ついにちゃんみだも私に心を開いたか。」と納得したように頷き相変わらずの近すぎる距離で接してくる彼女にもはや溜息すら出てこない。



何件か続いた立ち会いを終えて本部に戻り、疲れた身体を休ませようと仮眠室へ脚を運ぶ最中後ろから聞こえた足音に少し歩くペースを落とすと追い付いてきて隣に並ぶ問題の彼女、名前を見てすぐに目を反らす。



「ちゃんみだ!どこ行くの?」


「疲れているので、仮眠しようかと。」



「仮眠って、まだ仕事残ってるの?」


珍しく真面目に心配してくれているらしい彼女にいいえと返し、ならどうしてと聞かれる前に続けた。



「今から運転して帰る自信がないので。少し眠ってから帰ろうと思っただけです。」


それを聞いて何かを考えるような素振りを見せる彼女に、いや余計なことは考えるなと心のなかで唱えたが伝わるはずもなく、



「私も一緒に行こうかな!」



予想通りの言葉に飛ばそうとしていた泡が弾けた。



「私は寝ると言ったのですよ、貴女の相手をする予定はありませんので。それとも添い寝して下さいますか…そうなると手出ししない保証はありませんが。」



いい加減に男だと意識したらどうだとぶつけた言葉もさらりとかわされる。




「私、次の立ち会いまで二時間もあるし暇だし。本読んでるから起こしてあげようと思って。二時間だとちょうどいいでしょ?」



「…勝手にしてください。」



そう言って歩き出すと、素直じゃないんだからと鼻歌混じりに呟きながら着いてくる彼女。これはいよいよ本気で迫らないと気が付かないな、なんてひとりごちて仮眠室のドアを開けた。




「私の事は気にせずゆっくり眠ってね!」



ベッドの横に椅子を置いて座ろうとした彼女の手を取り、組み敷いてやった。



驚いて瞬きを繰り返す様を見て笑い、首筋に口付ける。さすがに身を固くさせた彼女が抗議の声を上げるのを唇を塞いで聞こえないようにした。



長いキスに苦しくなったのか、脚をばたつかせ始めたのでそっと唇を離すと涙目の彼女と目が合う。



「どうして、いきなり。こんなこと。」



途切れ途切れに紡がれる言葉に酷く欲情してしまい、もう一度キスしようと顔を近付けると反射的に閉じられる瞳に、抵抗するなら本気でしてくれないと止まりませんよと思いながら再度その唇を味わう。



「どうしてっていつも貴女が誘うように触れてきたのでしょう。今まで我慢していた私を誉めて欲しいくらいですよ。」



「…誘ってなんて。」



「貴女の事を好きな男に、随分と酷な事を言いますねぇ。」



それを聞いて目を見開く彼女の顔が、今まで見てきたどんな強者の崩れ落ちる顔よりも自分を満足させることに喉を鳴らす。




「好きって?私のこと…」



「ええ。好きです、名前さん。随分前から…もうこれからは我慢しません。」




ちょっと待ってと慌てる彼女の頬に啄むようなキスをして、



「今が健全で、今までの方が不健全だったんですよ。」



覚悟してください。私、性格歪んでますから、逃がしませんよ。


続き………勘違い? 勘違いさせたのは誰でしたっけ


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