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□前と同じ距離なのに、どうして"近すぎる"んですか?
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以前抱き締め返したことを意識しているのか、やたらとスキンシップが多かった彼女が最近はあまり触れてこなくなった。



少し寂しい気もするが、男として意識されているとしたらいい傾向だと1人で笑いを噛み殺す。



何気なしに覗いた休憩所に、小さな後ろ姿を見つけて気配を消してそっと近づく。真後ろまで迫っても気が付かない程携帯電話の画面に夢中になっている彼女に、警戒心を持つよう注意しようと思いながら彼女の視界を遮るように手で顔を覆ってやった。



「わっ!誰ですか!?」


「…………私です。」


「ちゃんみだ?」



どうして疑問形なんだと不満を抱くが、彼女の口から出たのが他の男の名前じゃなかったのでまあ良しとしよう。



これで他の立会人の名でも呼ぼうものならその立会人との號奪戦も仕方ないことだなと考え、そうならなかったことに安堵する。



手を離して、何をしていたんですか?と聞くと嬉しそうに画面を見せてきた。



「これね、ギャンブルの神様なんだって!この画像持ってると面白い勝負に立ち会えるかもよ!送ってあげるね。」



ああもう、また無邪気にそんな顔を見せて。これが向けられるのは自分にだけであって欲しいが、彼女の事だ。きっと他の男のにも同じように笑顔を向けるのだろう。



醜い嫉妬心を逃がすように舌先で作った風船を飛ばしてから隣に座る。



「良く見えませんでした。もう一度見せて頂けませんか?」



携帯を弄る手元を覗き込む振りをして彼女の息が頬に当たるくらいの距離まで近付けたお互いの顔。




気付かれないようにチラリと彼女の様子を窺うと、少し焦ったように離れようとするので肩に手を乗せて逃げられないようにした。




「…ちゃんみだ。近いよ、近すぎるよ。」




ぼそりと呟かれた言葉に、とうとう笑いを隠せずにふっと溢して真横にある彼女の耳に囁いた。



前と同じ距離なのに、どうして"近すぎる"んですか?


続き………今が健全で、今までの方が不健全だったんですよ

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