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□勝手に大きくなるのを止められないらしい
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最近なんだか無気力モードの貘さんを気分転換に出掛けましょうよと外に連れ出したのはいいけど…ずっと上の空。


「貘さ〜ん、どうしちゃったんすか?」


男の僕でも見とれてしまうような気だるげな表情で流し目を披露されてドキリとしたが、当の本人は大袈裟に溜息を吐いてカリ梅の袋を指先で弄っている。


「取り敢えず、ゆっくり話でも聞きますよ!マルコもいないし、邪魔も入らないですよ!何でも相談してください!」


「梶ちゃん…ありがとう。」


ぐったりしている貘さんを半ば引き摺るようにして近くのファミレスに入り案内されて席に着く。するとさっきまでぼうっとしていた貘さんが斜め前の席の女の子達を見て、似てると呟いた。



「…似てる?誰が誰にっすか?」


「…はぁ、わかんないの?あの子が名前ちゃんにだよ。」


今の僕の質問の何処がいけなかったのか。その女の子をそっと見てみるが、此方に背を向けているため顔までは確認出来なかった。でも、どことなく雰囲気は苗字さんに似ているような気がした。よく見ようと目を凝らす僕を見て、呆れ顔の貘さんがポツポツと話し出す。


「名前ちゃん、あの時號数教えてくれなかったから立ち会い頼もうとして夜行さんに聞いたら教えてくんなかったの。」


「どうしてですか?」


「"私の可愛い娘に何か用ですか?"だってさ!娘って何なのさ。歳が合わないよね、無理があるよ。娘のようなものってこと?」


「…ん〜、夜行さんと親子ねぇ。無さそうですね。可愛がってるってことでしょ!そうですよ!」


苗字さんと夜行さんに血の繋がりらしきものを感じさせる外見的特徴は無かったなぁと考えていると、いちいち色気たっぷりな貘さんは珈琲をゆっくりかき混ぜた後、これからどうしよなんてブツブツ呟いてそれを口に含んだ。


「夜行さんのガード入っちゃったら会うのも厳しいよねぇ。どうにかなんないかな。」


僕に相談する貘さんなんてもう2度と見られないかもしれない、そして僕が助けてあげることなんて…ついつい張り切ってしまった僕は貘さんの思惑通りの台詞を吐いたなんて気が付かなかった。


「僕が賭朗勝負で夜行さん呼び出して、その途中で別の勝負に貘さんが苗字さん指名したらいいんじゃないすか?」



いつの間にかカリ梅を袋から取り出し音を立てて食べていた彼が、「さすが梶ちゃん。キモ冴えてんね。」と笑うのでそうすかと喜ぶ。


「それより貘さん、本気で苗字さんのこと狙ってんすか?」


「本気も本気、大マジよ。こればっかりはギャンブルでは手に入れられないしねぇ。諦めるなんて言葉も浮かばないくらいに、マジ。」


「出来る限り協力しますよ。」


「頼むよ、梶ちゃん。俺最近その事ばっかり考えちゃって寝不足なんだから。」


そう言ってテーブルに突っ伏した貘さんの横をさっきの女の子達が通って行った。


そのうちの1人、貘さんが苗字さんに似てると指差した子が僕達を見て、はっとした顔をした気がしたけれど見間違いだったのかな。



勝手に大きくなるのを止められないらしい



続き………追いかけると逃げて行くらしい

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